どうやら、レギュラーたちは太郎ちゃんに直談判して、試合の権利をもぎとったらしい。 …………オイオイ、みんな行動がおかしいよ……? Act.27 福引の、鐘をならすようなもの 今回は、シングルスメインの練習試合ということになったらしい。 せっかく氷帝学園にはコートが3面もあるので、有効に使おうということになったそうだ。 だから、侑士、がっくんペアの1組以外は、全員シングルス。 「岳人……自分、スタミナ切れしようが何やろうが、0ゲームで勝つんやで」 「俺、今日はスタミナ切れなんて、ぜってぇしねぇ……まかせろ侑士」 メラメラと2人の目に炎が見える。 おーい……戻ってこーい…………。 がっくんペアがAコート、隣のBコートでは、チョタがシングルスだ。Cコートでは準レギュの子が試合。 「ふふ……俺は今日、サーブを外さない……ダブルフォルトは絶対しない……」 チョター!?なに暗示かけてるのさー!!! 怖い……怖いよ、笑顔が怖いよ、チョタ!! 「…………、一体レギュラーに何があった」 太郎ちゃんがいつの間にか隣に来ていた。 今日初めてあったので、とりあえずおはようございます、と挨拶。 「あぁ…………で、どうしたんだレギュラーは」 「あー……ちょっと、色々ありまして」 「勝ったらのキス、勝ったらのキス……」 ひぇ〜、亮が隣でブツブツ呟いてる〜……どうした、亮!いつもの爽やかさがないぞ!? 「なに?…………、そんな約束をレギュラーとしたのか」 「えっ、いや……最初は景吾と……ラブゲームで勝ったら、ごにょごにょ……っていう……」 なんでこんなことを太郎ちゃんに言わなきゃならないんだ!(泣) 羞恥プレイですか!?私をいじめて楽しんでるんですか!? そういえば、太郎ちゃんはサディストだって噂があったような、なかったような……! 「…………」 「なんでしょう…………?」 「…………レギュラー全員がラブゲームで勝ったら、私にもそのご褒美とやらをくれるか?」 !!!!!! 太郎ちゃ〜〜〜ん!?(錯乱) 「えっ……あのー……」 「……ダメなのか?」 「いえっ!」 って違――――――!! 否定してどうするよ!どうするんだよ、馬鹿! いや、でもだって今の太郎ちゃんの目が、子犬みたいで可愛かったから、つい……! 「そうか。…………レギュラー全員集合!」 えぇぇぇぇっ!? 太郎ちゃんの声に、どこかへトリップしていたレギュラーも、一目散に集まる。 「…………お前ら、1ゲームでも落としたら、レギュラー落ちだ」 いや――――――!なに言ってくれちゃってるんですか、太郎ちゃん! やめて!そしたら、これから起こる原作の出来事がおかしくなっちゃうじゃないですか! あぁぁ、どうすればいいの!? 神よ、これは私に与えた試練ですか!?(泣) 「お言葉ですが、監督」 景吾が監督を見ながら、言ってのける。 「俺たちは、1ゲームも落とす気はないので」 うっそ〜〜〜〜〜〜…………。 と思ったら。 「6−0により、勝者、向日、忍足ペア!」 まずダブルスのペアが勝っちゃいました。 がっくんなんて、最初から最後まで飛ばしっぱなし。 スタミナの心配もなんのその、超短期決戦で、あっさりと6−0で勝利を決めた。 スコアを取っていた私は呆然。 というか、ほぼポイントも取らせずにガンガン攻めていったので、試合が終わるのが早いこと早いこと……。 「勝ったで、ちゃん!」 「へっへー……」 ニコニコ戻ってきた2人にボトルとタオルを渡す。 う……今は可愛いがっくんスマイルが、私に鋭い攻撃を……! 「「さ、ご褒美!」」 息ピッタリな2人の声。 ……そのコンビネーション、ダブルスにもっと生かす気はありませんか……? 「こ、ここで……?」 うん、とこれまたピッタリ頷く2人。 「、ご褒美ー」 がっくんが口を尖らせて拗ねている。 くっ……可愛い……!(メロメロ) えぇい、女は度胸よ! ほっぺたに、軽く、ちゅってやればそれでコトはすむのよ! これはご褒美。 福引であたった人に、鐘を振るようなものだわ!(何か違) 最初にがっくんにちゅっ頬にキスをして、侑士は背伸びしてちゅっとキス。 〜〜〜〜〜〜恥ずかしい〜〜〜!!! 顔真っ赤だって、絶対! ホントに、こんな羞恥プレイをなぜ私が……! 「…………試合に勝つって……えぇなぁ……」 「勝った喜びって、こういうことをいうのか……!」 あぁ、2人がどこかへ旅立ってしまわれた……! 太陽に向かって何事か呟く2人。 「うむ、向日、忍足。……行ってよし!」 太郎ちゃんが、ビシッとお得意のポーズ。 わぁぁ、とBコートで歓声があがった。 ふ、と見れば、チョタがスカッドサーブを決めていたところで。 どうもそのサービスエースで、試合が決定したらしい。 「ゲーム!6−0で、鳳!」 相手への挨拶もそこそこに、チョタがこっちへやってくる。 あぁぁ……!大型犬がしっぽを振ってこっちに走ってくる幻影が……! 「さん!勝ちましたよ、ラブゲームです!」 「そ、そうだね、おめでとう、チョタ。ハイ、ボトルとタオル」 「ご褒美、くれますよね?」 キラキラした目でチョタが……! あぁ、もう! 「チョタ、ちょっと屈んで」 チョタが少し身長を落としたところに、ちゅっと掠めるようにキス。 チョタは、頬を押さえると、 「試合に勝つことって……こんなに素晴らしかったんですね……!」 とがっくん、侑士に混じって、太陽に向かって何かを呟く。 あぁぁ……チョタまでどこかへ行ってしまわれた……。 「、、次俺だから!ちゃんと見ててね!?」 ジローちゃんがBコートで手を振っている。 「あ……ジローちゃん、頑張って!」 「やる気出てきたCー!!!」 「、Aコートでは俺だ」 「あ、亮。頑張って……ね?」 「まかせろ。負けるなんて激ダサだ」 今度の試合は、Aコートで亮。Bコートでジローちゃん。 この2人もあっさり勝ってしまわれた。 私の前で、ニコニコ笑顔のジローちゃん。 うっすらとしか汗をかいていない、余裕しゃくしゃくの亮。 神よ……!まだ私にこの羞恥プレイに耐えよというんですか……!? 「、ご褒美ー!」 「……えぇい、そこへなおれぃ!」 2人を並べると、ちゅっちゅっ。 っかー、恥ずい!恥ずかしすぎる……! ジローちゃんが、がばっと抱きついてくる。 「ー!次も頑張るCー!」 「そ、そう……頑張って……(グッタリ)」 「……最高だぜ……!」 「亮〜……戻って来い」 亮が侑士たちのお仲間になってしまわれた。 その光景を、ため息をつきながら見て、抱きついているジローちゃんをよしよしと撫でる。 ジローちゃんの金の髪を見て、私は、ハッと思い出した。 「そうだっ、私、みんなに差し入れ持ってきたんだった!」 私の大声に、太陽に向かってなにか呟いていた人たちまで、覚醒する。 「なになに!?差し入れ!?」 よいしょ、とジローちゃんをはがして、ベンチの横に置いておいたクーラーバッグの中から、瓶を出す。 「はい、定番中の定番、レモンのはちみつ漬け〜」 「おぉぉぉぉ〜!!」 レギュラーに1瓶渡して、他の瓶を、準レギュ、平部員の子に渡しにいく。 私がレギュラーたちのところへ帰ってきたとき、すでに瓶の中はカラッポだった。 「えっ、ウソ……早っ!」 「すっげー美味かった……」 「ウス……」 「は、蜂蜜まで舐めちゃったの!?」 「蜂蜜もおいしかったCー!」 「ジ、ジローちゃん…………」 一気に食べるなんて……試合の合間とかに、ちょこちょこ食べさせて、ビタミンC補給させるつもりだったのに……! 「……ふむ、中々美味いものだな」 た、太郎ちゃんまで―――!!! 「、次は俺様の出番だ。しっかり見てろよ?あーん?」 ぽん、と景吾が私の頭の上に手を乗っけて立ち上がった。 Aコートで、景吾の試合が始まる。 バンッと最初からものすごいサーブ。 破滅への輪舞曲、眼力、すべて使いまくって。 わずか15分ほどで完勝してしまわれました……!(唖然) 「はっ……俺様と勝負なんて、100万年早いぜ」 悠々と景吾さんがこちらへ歩いてこられてます。 とりあえず、ボトルとタオルを渡して……。 渡して、逃げるべきでしょうか? 景吾さん、絶対ほっぺたじゃ許してくれないです。 …………逃げるべきですね。 公衆の面前で、そんなことさせられた日には、意識がぶっ飛んで地球1周しちゃいます。 「はい、景吾!お疲れ様!(ニコニコ)」 「あぁ……「あぁっ、と!もうポカリの粉がなかったー、取ってこなきゃ〜!じゃあね!」 ダッシュ。 今なら、日本記録も目じゃないぜ!(何) ふっ、これでほとぼりが冷めるころに…… ダダダダダダッ。 「!待ちやがれ!」 ギャ――――!!! 景吾さんが、世界記録も目じゃない速さで追いかけてきてる―――!! 部室へ逃げ込んで鍵掛けようかな!? 部室棟の方へ行こうとしたら。 ガシッと手首を掴まれた。 勢い余ってつんのめりそうになるのを、景吾がすごい力で引き寄せて抱きしめられる。 に、逃げられねぇ……!(滝汗) 「……女に二言はないんだったよな?あーん?」 「えっ、いや、あのー…………ほっぺたでいい?」 「却下」 「ほら―――!!!みんなはほっぺただよ!?」 「俺様をあいつらと一緒にするな」 ぜひとも一緒にさせてください! ん、と景吾が目を閉じる。 うっわー……睫毛長ー…………。 見惚れてると、景吾が目を開けた。 「、早くしろ」 「……ホントに、ほっぺたじゃダメ?」 「唇以外にしても、離さねぇからな」 Oh〜〜〜〜〜…………。 景吾がもう1度目を閉じる。 ……くっそぉ、頑張れ私。 福引の鐘だ、鐘!(言い聞かせる) 意を決して、瞬間的に触れたかな〜ってくらいの速さで、景吾の唇にキスをする。 さぁ、離してもらうぞ、と思ったら。 腕の力が緩みませんが……!? 景吾が目を閉じたまま、衝撃的な一言を発する。 「今のじゃ却下。……ちゃんと舌入れろ」 無理!!(大絶叫) 舌なんて……舌なんて、無理! 「景吾さん!む、無理です!」 「無理、じゃねぇ。……やれ」 いや――――――!! なんとか……なんとかこの腕の拘束を外せませんか……!? ギギギ、と腕を突っ張ろうとするけど。 「抵抗するだけ無駄だ。……俺様を誰だと思ってる」 天下の跡部景吾さまです…………(泣) 「早くしねぇと、誰か来るかもしれねぇぜ?」 こんな羞恥プレイ、見られてたまるか―――!!! が、頑張れ私! 福引の(以下略) ぎゅっと目を瞑って、景吾の唇にキスをする。 おずおずと、舌を動かして景吾の口の中に入れた。 景吾の舌と、私の舌が、触れる。 が、頑張った……!もういいよね……!? と顔を離そうとしたら。 ガッチリ頭を拘束されて。 「……っ……んっ……」 そのまま景吾に舌を絡み取られる。 ビックリして、景吾の口から舌を抜き取ると、今度は景吾の舌が私の口内に入ってきた。 歯茎のあるポイントに景吾の舌が当たったら、ゾクリと背筋を何かが這い回った。 も、もう無理ぃ〜…………! 抵抗する力も出なくなって、いいように景吾に口内を弄ばれた後。 やっと、唇が解放された。 はぁっ、はぁっ……と口から漏れる息。 口の端から、景吾に送られてきた唾液が垂れている。拭き取ろうと手を動かそうとしたら、景吾がペロリと顎を舐めてきた。 な、慣れてやがる、恐るべし14歳……! 「あんなもんじゃ、本当は許せねぇが……仕方ねぇから今回だけは見逃してやる。……後でちゃんと教えてやるからな」 何を教えてくださるんですか!(泣) ちなみに、太郎ちゃんにも仕方なく、ほっぺにちゅってやった(恥) なんだか太郎ちゃんが嬉しそうに「今後も練習試合を組むことにするか」とか言ってたし。 もう……もう練習試合なんてコリゴリだ―――! ほどほどにしてくれ!もしくは、もっと強いところと……!(願) NEXT |