朝、下駄箱を開けたら大量のラブレター……ならぬ、デスレター。 『死ね』『転入早々ウザイ』『男好き』『デカいんだよ』 転入2日目でイジメですか。 ………………………………。 デカくて悪かったな!(泣) Act.10 ラブレター、デスレター 「?」 「わっ!?」 慌ててレターズを鞄の中に突っ込む。 すまん、レターズよ。君らに構ってる暇はない。 「なにしてんだ?」 「ちょっとゴミがね。あははー」 「ゴミって、買ったばかりだろ、お前の上履き」 「ま、細かいことは気にせずにー!ホラ、行こ行こ」 前途多難ですよ、まったく……まぁ、画鋲が入ってなかっただけマシですよね。 画鋲が入ってたら、ごまかしようがないからな……うーん、どうしようかな。内密に処理したいんだけどな……人数多いだろうしな……そこがネックだよ…………。 ずっと悩み倒して(向こうから何の反応もないってことは、景吾たちが傍にいるときは、やはり近づけないらしい)、コトが起こったのは、昼休みだった。 なぜだか恒例になっている、屋上でレギュラーと昼を食べようの会(命名)を一足先に脱出してきた私は(トイレのためね)、女子トイレから出ようとしたところで、捕まった。 「さん、ちょっといい?」 これか―――!!!これが夢小説お得意の、『私たちの跡部様に近づかないで』の刑か―――!!! 「えーっと…………えっ!?」 ガシッと両脇を掴まれ、強制的に連行される………… 「待て」 はずだったのに(汗) 「あ、あああ、跡部様!?」 「何をやってる?」 「え、いや……あの、これは…………」 「なんや、ちゃんを連れていこーって雰囲気なんやけど……ちゃんに何の用や?」 いつの間に現れたのか、 先ほどまでは屋上にいたであろう、景吾と侑士。 「」 「ハイ!」 「先に教室戻って、授業の準備してろ」 「え、でも……」 「早くしろ」 「あいあいさー!」 景吾様の有無を言わさない目に勝てず、バビュンッとその場を立ち去る。 だから、知らなかった。 景吾や侑士たちの行動を。 「お前等、なにしようとしてたんだ?」 「あ、跡部様…………」 「これ」 跡部はピラ、と紙を取り出す。 の鞄に入っていた、今朝のデスレターだ。 「お前らが書いたのか?」 「あ…………」 「ちょお跡部……それどないしたん?」 「の鞄から拝借した。…………俺が記憶する、お前の字に酷似してるんだが?」 「あ…………」 ふっと跡部はその紙を高く掲げると。 ビリッと真っ二つに破いて……宙に舞わせた。 「…………二度目はないと思え」 それだけを言うと、跡部は教室へ向かう。 後に残った忍足が、床に落ちた紙片を拾い、チラリと見る。 そのえげつない内容に、スッと眉を寄せた。 「人の気持ちがわからんお前らでも、跡部が怒っとるの、わかるよな?……それと同じくらい、俺も怒ってんで。…………今度うちのマネージャーになんかしたら……覚悟しとき」 拾い上げた紙片を、さらに2つに引き裂く。 眼鏡の奥にある瞳は、 冷たい光を持っていた。 NEXT |