みんな、もういないだろうなぁ〜……1人寂しく、豊漁祭かぁ…………あぁ、重要イベントがぁ……(泣)

一縷の望みをかけて、玄関のドアを開ける。



…………シーン…………。



「やっぱ、みんないないかぁ…………」

しょうがない、1人で行くしかないな。
もしかしたら、向こうで会えるかもしれないし。

「………………オイ」

ビックゥゥゥ!!!

「だ、だだだだだだ、誰!?」

ドキドキ早鐘を打つ心臓付近を押さえながら、声の主を探す。
暗い廊下から現れたのは、

「…………リューグ!」

「遅ぇんだよ、ばーか」

「び、ビックリした〜〜〜……心臓ひっくり返るかと思った……」

「はぁ?…………オラ、もう時間もねぇ。とっとと行くぞ」

いつものトゲトゲ鎧はない。
レルムの村で見たような、ラフな格好で、リューグが歩き出す。

「…………もしかして待っててくれた?」

「………………行かねぇんなら、置いてくぞ!」

「わわわ、待ってください!行きます!一緒に行かせてください〜!」





「リューグ、リューグ!輪投げ、輪投げがある!」

「あぁ?…………やりてぇのか?」

「ちっが〜〜〜う!!!そ、そうだ!……リューグ、あれ、あれ取って!」

どうにかしてリューグに輪投げをやって欲しくて、適当に景品を指差す。

「あ?…………大概、お前も菓子好きだよな」

指差したのは、どうやらお菓子だったらしく。
呆れたようにため息をついたリューグだったけど、どうやらやってくれるらしい。
急いで私はお財布を出そうとすると、

「なんでお前が出すんだよ。俺がやるんだから、俺が出す」

「へっ?でも私が頼んだんだし」

「別にいーって、こんぐれぇ。……親父、1回」

「あいよっ。兄ちゃん、彼女にいいトコ見せてやんな」

「か、彼女じゃないですって!」

「……まかせとけ、親父」

「って、リューグゥゥゥ!?」

なんだか面白そうに笑ったリューグ。
…………からかってるし。

ひゅっ…………。
第1投目、リューグ選手、投げました!(実況)

パスッ、と音を立てて、見事私が欲しいといったお菓子の上に輪が落ちる。

「おっ、兄ちゃんやるねぇ〜」

渡されたお菓子を、ぽん、と私に押し付けるリューグ。

「す……すっごい…………」

輪投げが上手いとは思ってたけど……ここまですごいと思わなかったよ!

「で?次は何が欲しいんだ?」

…………そう言って微笑むリューグの顔が。
言葉を失うほど、カッコよかった。







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