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「ただいま~」

「あ、おかえりなさい」

ひょこっと部屋から顔を出したのは、ロッカ。
私は、キョロキョロと辺りを見回して、誰もいないことを確認する。

「みんな、出かけちゃった?」

「えぇ、ついさっきまで待ってたんですが……僕が残ると行ったので、みんな出かけていきましたよ」

「えぇっ!?ご、ごめんね、私が遅くなったばっかりに……!」

「いいんですよ。僕、マナミさんと一緒に行きたかったですし」

「え?」

…………なんか、サラッとすごいことを言われた気がしたんですが。
うん、スルーしておこう、ここは。
なんだか、ロッカが黒い笑みを浮かべてるのも、気のせいだ!(言い聞かせる)

「ろ、ロッカ!行こうか!」

「えぇ、行きましょうか」

黒ロッカは、突っ込んだら怖いことになりそうだから、触れないでおこう!




ドンッ……パララララ…………。

ひとしきりお祭りを回ったところで、空で花が咲いた。

「あーっ、花火だ花火!!」

「す……ごいですね……」

呆気に取られて上を見上げるロッカ。

「ロッカは、花火初めて?」

「えぇ。…………きれいですねぇ」

「うん、キレイだねぇ♪私がいた国じゃね、夏になると、どこかしらで花火あげてたんだよ。それも、キレイだった……」

懐かしい日本。
みんな、どうしてるのかなぁ……同じように花火を見上げてたり、するのかなぁ?

黙り込んでしまった私の頭に、ロッカがそぉっと手を置いた。

「?……ロッカ?」

「寂しい……ですか?故郷の人と会えなくて」

「…………ううん、平気。ロッカとかみんないるし!……それに、故郷の人と会えないのは、私だけじゃないもん」

トリスも、マグナも、レナードさんも…………そして、ロッカにリューグ、アメルだって。
故郷の人を、失ってしまった。

「だからね、大丈夫!」

「……そうですか。……でも、もし……万が一、寂しくなったときは言ってくださいね。僕も一緒に……こんな風に、一緒になって、寂しさを分かち合いますから」

そう、ロッカと私は、故郷を失ったものとしてのつながりがある。
もしも、寂しくなったら。
今日みたいに、2人で少し寂しさを分かち合えばいい。
その後、2人で元気になればいいのだから。

私たちは、どちらからともなく、手を握り合っていた。







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