「あっれ、おかしいな……どっちだっけなぁ〜」

油断してたのがまずかったのか、帰り道が……わからない(泣)
ここの道まではわかったんだけど……ここの角を、右だっけ?左だっけ?
…………あぁぁぁ、わからないぃぃぃ〜〜!!!

「…………何をやってるんだ、君は」

「!!……ネスティ!」

呆れたように、道で肩をすくめているのは、ネスティ。
思わずパタパタと駆け寄っていく。

「よかったぁ〜……どっちに行けばいいかわかんなくなっちゃって……」

「そんなことだろうと思った。……君も、トリスたち以上に世話がやけるからな」

冷えてきただろう、とマントをかけてくれる。
白いパーカーに、赤いマントという微妙なコントラストだけど……

「うわ……あったかい〜……」

「マント1つで結構変わるだろう?……ほら、じっとしてろ、ボタン留めるから」

ネスティが少しかがんで、マントのボタンを留めてくれた。
裾が引きずりそうで引きずらない、微妙な位置。……頑張って背筋伸ばして、引きずらないようにしようっと。

「さ、行くぞ」

「え?ど、どこに?」

いきなりの展開に、ついていかないバカな私の頭。

「…………君は馬鹿か?」

あぅ。…………ネスティさん、ごめんなさい。

「豊漁祭に決まってるだろう?……それ以外に、君は行きたいところがあるのか?」

「!!!ないです!豊漁祭に行きた〜い!」

「だろう?……ほら、会場はこっちだ」

ゆっくりと歩き出すネスティの後を、追いかけて。
マントの裾を引きずらないように、駆け出した。





メチャクチャな人込みに、時々マントをひっぱられながらも、ネスティが作ってくれる道を追いかければ、楽に進むことが出来た。

「君は酒飲み過ぎて暴れたり、ケンカしたりしないでくれよ?」

「え。…………それってもしかして」

「マグナとトリスの馬鹿2人だ。…………そうだな、今日は健全に……温かい食べ物でも食べ歩くとするか」

後ろを振り返りながら、ネスティが柔らかく笑う。
思わず立ち止まって見惚れたところで、

「っと……わぁっ」

ドンッ、と男の人にぶつかられて、マントを持っていかれそうになる。
慌てて引き戻して、ネスティの後を追いかける。

すっ、と手が差し出された。

「…………君が、嫌じゃなければ。はぐれたりすると困るだろう?」

少し照れたように、白い頬がほんのり赤くなっている。
差し出された手に、私の手を重ねて。

「えへへ、ありがと〜vv」

私たちは2人、お祭りを満喫した。






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