「お。じゃね〜か〜」 のんびりした声に、急いでいた私の足は自然と止まる。 「フォルテ?」 「よ。お前も今から帰るところか?」 「うん。フォルテも?じゃ、一緒に帰ろう!」 「あー……面倒くせぇし、このまま祭りに行っちまわねぇか?どうせ、祭りに行けば誰かしら、いんだろ」 「あ、そか。 ……じゃ、それまでフォルテお兄さんと2人っきりなのね……」 「おぅ、光栄だろ?」 「エェ、光栄デストモ〜」 「……棒読みで言うヤツには、こうしてやる〜〜〜」 頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜら…… 「って、やめんか―――ッ!ぎゃ―――!おとなげない〜!!!」 「おとなげ(大人気)と書いて、だいにんきと読む♪」 「意味わかんないしっ!」 とにかく。2人でお祭り会場へ。 すでに人がいっぱい。 「フォルテ〜……なんだか私、みんなを見つけられない気がしてきた……」 「あー……実は俺も。気が合うな」 「………………しょーがないから、2人で回ろっか」 「しょーがないとはなんだ、しょーがないとは」 ブツブツ文句を言うフォルテの後ろをくっついて歩く。 フォルテは体がでかいから、フォルテの後ろにピッタリくっついて歩くと、ちょうど道を作ってくれて楽なんだよね〜vv 「おvv、見ろよ!」 フォルテが指差す先には…………お酒。 「振る舞い酒だぜ〜vvよっしゃ、行くぜ〜」 一目散に走り出したフォルテの後を、なんとか追って行く。 「ハイ、お嬢さんもどうぞ」 お姉さんがコップを渡してくれて、その中には、少し濁ったお酒が。 隣では、すでにフォルテが飲んでる。 「っか〜……美味いな〜、ファナンの地酒ってヤツは、王都でも有名だからなぁ〜」 「そ、そうなの?……じゃ、いただきま〜す」 この世界では、未成年もあんまり関係ないみたいだし。 コップを傾けて、コクコクッ、と喉を通した。 「……ケホッ……な、なにこれ、喉が焼ける……」 喉を落ちていく液体は、熱くなって食道を通っていく……あぁぁ、リアルに自分の体わかって嫌〜〜〜!! と思ったら、ひょいっとフォルテにコップを取り上げられた。 「ま、この地酒は強いからな。お前さんは、もうちょい軽い……こっちにしとけ」 ホイ、と渡されたのは、ピンクの液体が入ったコップ。 なんだろうと、フォルテを見上げれば、フォルテが私のお酒を飲み干していた。 …………間接チューなんだけど。 そんなこと気にする人じゃないか。 「っか〜、うめぇ!」 「ねぇ、フォルテ、これ何?」 「ん?あぁ、それは果実酒だよ。ナウパの実を漬け込んだヤツ。甘くてジュースみてぇなもんだから」 飲んでみ、と言われて、恐る恐る飲んだら…… 「あ。おいしい」 「だろぉ?…………お、花火上がるぜ」 ひゅるるる〜……ドーンッ。 「花見酒ならぬ、花火酒〜♪」 「フォルテ、親父ギャグ〜!」 「わはは、ほれ、もっと飲め飲め♪」 …………ほろ酔いで、私たちがモーリン邸に帰って、みんなに怒られたのは言うまでもない。 NEXT |