「えーっとね、この服と〜、この服…………これも似合うと思う♪」 ビラビラ〜〜〜、な真っ白なレースのすかしのついた、スカート。 「私はねぇ、こっちの服と〜、これも似合うと思うよ!」 ミニスのスカートと同じくらい、短いスカート。 え〜っと…………。 トリスとミニス…………盛り上がってるトコ悪いんですが。 「…………それ、着るの私…………?」 にぃっこり笑って、2人は頷いた。 Scene.33 災難再襲来 「ねぇねぇ、お兄ちゃん!これ、に似合うよねぇ!?」 女物の衣料のコーナーには、さすがにちょっと入りづらいのか、マグナ、バルレル、レシィの男3人は、少し離れたところで立ち尽くしている。 だけど、わざわざトリスさんは、そこまで服を持っていって聞いてくれましたのよ(汗) 「ん?あぁ、似合うんじゃないか?値段もそう高くないし」 のほほん、とのん気に答えるマグナに、私は鋭く突っ込みを入れた。 「マグナ!これは、値段とかそーゆー問題じゃないでしょ!見てよ、このレース!こんなビラビラ〜、なの着れるかぁぁぁぁぁ!!」 「ねぇねぇ、バルレル。このスカート、に似合うよね?」 今度は、ミニスが果てしなく丈の短いスカートを持って、バルレルに迫っていた。 「ケッ…………短すぎんじゃねェのか?コイツにはよ。足、さらしたいってんなら別だが」 「バールーレール!!あんた、さりげなく嫌なこと言ったわね!?」 足の話は、乙女の前ではしないものよ!! 体重と同じくらいタブーな話題なのよ!!! 「でも…………どうしてこれだけ服集めてるのに……白いのばっかなの?」 トリスやミニスが持ってるのは、そろいもそろって、真っ白なのばかり。 …………白いとさ、汚れとか目立つから、黒いのとか暗い色がいいんだけど……。 「え?には白でしょ〜」 「どこからどういう基準でそんな具合に!?」 「イメージかなぁ?…………っていうかねー、最初は、ミモザ先輩から言われたんだけどね」 ミモザさんから? 「何を?」 「…………みたいに、ちょっとくらいのこととか我慢しちゃう人は……白い服着せておかないと、怪我しててもわからないからって」 「…………………………………は?」 トリスの言葉を、マグナが引き継いで言った。 「白い服着てると、怪我したときとか、血が染みると目立つだろ?そうでもして、こっちが気づいてやらないと、ひたすら我慢し続けるタイプが……だ、ってミモザ先輩が言ってたから」 これも似合うなぁ〜、と私の身体にトリスが服を当てながら、見上げた。 「…………だから、には白い服。…………よし、この白いパーカーに……シャツも買っておこうね。下は……ハーフパンツでどう?スカートはどうしても嫌なんでしょ?」 「うん、どうしても嫌!!!…………ありがと、トリスー」 いいからいいから、とトリスが会計に行ってくれた。 私は、その場で新しい服に着替えさせてもらった。 買い物も終わり、水道橋付近を散歩がてら歩いて帰ろう、と通ったときだった。 ケバケバしいオーラが…………オーラが!!!(泣) 「ようやく……よくやく見つけましたわよ、チビジャリッ!」 「で、出たあっ!?」 ミニスの言葉に、ケルマの額に青筋が浮かぶ。 …………うひゃあぁぁぁ……これは、かーなーり、キてるよ…………。 「もうペンダントのことなど関係ありませんわ。このケルマをここまで愚弄し続けた報い、今日こそ、今日こそ償わせてさしあげますわ〜っ!」 「いい加減にしてよね!それってただの逆恨みじゃないのっ!?」 「おだまりあそばせっ!私は本気ですわ。ウォーデン家の名誉を賭けて、最後の決闘を申し込みますわ!さあ、ミニス・マーン!返事はいかが!?」 「いかがって……ど、どうしよう???」 うるうると、後ろにいる私たち3人(バルレルは除外)に聞いてくるミニス。 …………ど、どうしようって言われても…………。 「本当にこれが最後の決闘なんだな?」 マグナの声に、ケルマは頷いた。 「私もウォーデン家の当主を勤めるものですわ。二言はございません」 「……わかった。そういうことなら勝負しようじゃないか」 「マグナ!?」 「仕方ない、ミニス。どこかで決着をつけておく必要があるんだ」 ゆっくりと言い含めるようにマグナはミニスに語った。 ミニスが少し頬を膨らませる。 ………………よっぽど、ケルマと係わり合いになりたくないんだな…………でも、その気持ち、ものすごーくわかるけど。 「場所はここ、助っ人の参加は自由としますわ。でないと、お嬢ちゃんが気の毒ですものね。………………あら?…………あなたは、あの時の…………邪悪な娘!」 「人を悪女のように言うな!!!」 まったく持って失礼な女だ! どっちかっていうと、ケルマの方が、悪女じゃないか〜!!! 「あなたもいるんでしたら、ちょうどいいですわ!この間のお返し、させていただきますわよ!」 「はぁぁぁ!?」 「思えば、私の魅力があれほど通じなかった相手は、あなたただ1人…………ただの小娘相手に、そんなことはあるまじきこと…………ウォーデン家当主として、この汚名を晴らさないわけにはいきませんわ!」 「いや、そんなご丁寧に晴らさなくても…………」 「ほほほ、祭りでにぎわう公衆の面前で、今までの雪辱をさせていただきますわ!」 颯爽と去っていくケルマ。 後に残された私は、ボー然と見送る。 誰かが私の肩を、そっと叩いた。 くるりと振り返れば、マグナが。 「…………………………ご愁傷様」 「は、ははは…………………」 乾いた笑い声しか、出なかった………………(チーン) 急いでみんなを徴収して、私たちは約束どおり水道橋通りまでやってきた。 そこには、もうケルマが仁王立ちして待ち構えていたわけで。 「さあ!はじめますわよ!」 やけにやる気満々な声を出して、目がらんらんと輝いていて…………うぅ……怖ひ………(涙) 「ちょっとケルマ、あなた本気でここで決闘するつもりなの?見物してる人たちまで巻き込んじゃったら、どうするつもりよ」 「あーら、そんな加減ぐらい心得てますわよ、私は?まあ、お子様には無理な芸当かもしれませんけどね……ほーっほほっほ!!!!」 「で、できるわよっ。年増女なんかに、私が負けるはずないもん!……ねー、!」 「ね、ねー?(汗)」 「年増って言うな〜〜〜!!きぃぃぃぃ〜〜〜!邪悪な小娘もろとも、ふっ飛ばして差し上げますわ!」 「邪悪言うな!」 ケルマは完全に私の言葉を無視。 くそぉ〜…………ケルマこそ、悪の召喚師ルックしてるくせにぃぃぃぃ。 「ふふふ、チビジャリ。今日の私は今までとは違いますわよぉ。この日のために、特別の助っ人を用意したんですからねぇ」 「助っ人ぉ!?」 「まじーぞ。今回ばかりは、あいつも本気の本気っぽいぜ」 「ウォーデンの財力なら、どんなに手ごわい連中をそなえていてもおかしくはないからな」 「さあ、いらっしゃい。貴方の出番ですわよ!」 「はいはーい。みなさんどうもどうも、こんにちはー♪」 底抜けに明るい声。 そんでもって、オレンジ色の超ミニスカ&白いレースのエプロン。 「パッフェルさん?」 そう、私たちの前に、まるで友達に会う(いや、実際マグナたちとは知り合いなんだけども)ノリで出てきたのは、檄アルバイターのパッフェルさんだった。 って、冷静に解説してる私だけど。 目線は彼女の足に釘付け。 …………足、なげーな……オイ…………。 「まさか、助っ人って彼女……??」 「そうですよー。日当2万バームで雇われたんですもの」 胸を張るパッフェルさん…………胸でけーな……オイ…………。 「ははははっ!こりゃいいぜ?そいつに何ができるって言うんだよ!?」 リューグの声に、艶然と微笑むケルマ。 おおぅ…………妖しい笑みで、怖さ倍増…………。 「パッフェルさん、見せておあげなさい?」 「そーですねー、それじゃ、ちょっとだけ……」 パッフェルさんが、なにかの実のようなものを、かる〜く空中に放り投げる。 ハッ!と息を吐く音が聞こえたかと思うと―――銀のきらめきが一閃した。 バラバラになって落ちてくる実を、すべてキャッチして、手を開いてみせる。 「おおー!!こいつはスゲエ!」 「…………食べやすい大きさにそろってるし……」 「おいおい、冗談だろ。あんた、こんな特技を隠してたのかよ……」 「別に隠してませんよー。ギブソンさんたちから聞いてないんですか?私の一番長い職歴って、暗殺者家業なんですよ、てへへ……」 あぁ〜……3での……ヘイゼルさん……だった時とか……って。 こんなの敵に回したら、サクッと背後から殺られるっつの!!! 「そうか……それなら、あの砦から無事に脱出できたのも頷ける……」 「ネスティ、あなたも冷静に分析してる場合じゃないでしょ!?」 「そう、それですよ!結局あの時、砦からお給金が回収できなくなっちゃってー。予定していた貯金額にたりないもので、臨時にこうして昔のお仕事を再開したわけです。というわけで……みなさん、申し訳ないですけど、覚悟してくださいねっ♪」 そんな、語尾に『♪』マーク付けられても困りますよ!!! と思ったら。 一気に、パッフェルさんが間合いを詰めてきて、抜き身のナイフを振る。 「うわぁぁぁぁ!マジでしゃれになんない〜〜〜!!!」 「!下がってろ!!!」 「い、言われなくてもそうしたいです〜〜〜!!!」 でも、背中を向けたらサックリ刺されそうで怖くて向けない〜〜〜!!! 「オイオイ……あのオンナ、相当な使い手だぜェ?」 ウォーデン兵の攻撃をかわしながら、いつの間にかバルレルが隣にやってきていた。 つーか、弓兵やーめーてー!!!激しく目の前を通過していく矢が怖い……ギャー!!また1本矢が目の前通過した―――! 「バ、バルレル〜〜〜!た、助けて〜……」 「チッ……しょーがねェな…………オイ、誰でもいいから、広範囲の術使えるヤツはいねェか!?」 「それなら、僕がウィンゲイルを呼ぼう」 ネスティが、機属性のサモナイト石をもって、詠唱を始める。 その詠唱を中断させないように、ネスティを援護しながら、少しずつ前進していく。 肝心のケルマはというと…………テテを呼び出してる。 「来たれ!ウィンゲイル!」 辺りが少し暗くなり、巨大扇風機のような腕を持った機械が登場する。 「うひゃ〜〜〜…………デッカイ扇風機…………」 そう呟いたら、アホか、とリューグに頭を殴られた。 だけど、デッカイ扇風機は、容赦なくウォーデン兵とパッフェルさんを攻撃する。 ウォーデン兵はひとたまりも無い。 かろうじてなんとか踏みとどまっていた兵士も…………フォルテやリューグ、シャムロックさんたちにアッサリ気絶させられた。 「…………パッフェルさん、なんとかして行動封じられないかなぁ……」 小さく小さく私は呟く。すると、わりと近くにいたミニスが、これまた小さな声で答えてくれた。 「あっ!じゃあ、私がなんとかしてみる!…………えーと……あった、ヒポス、タマス!」 ゴソゴソと石を取り出して、召喚術を唱える。 パッフェルさんは、笑顔ながら(これがまた怖いんだけど)ナイフ一本で、フォルテやリューグの攻撃をかわしている。…………うひょ〜……どんな、戦闘能力持ってるんだよ、この人は……。 「う〜ん……やっぱり、みなさんお強いですねぇ…………」 「はっ!その俺らを、ナイフ一本でかわしてるアンタは一体なんなんだよ!」 「そりゃあ、年季が違いますから♪」 ニコニコと笑って攻撃するパッフェルさん。 でも、どうやらミニスの呪文の詠唱も終わったようだ。 ミニスが私に向かって頷いた。 「…………リューグ、フォルテ!避けて!」 私の声に、パッフェルさんのすぐ近くにいた、リューグとフォルテが飛びのいた。 「ヒポス…………スウィートブレス!!!」 「!?……あ……ら……?」 ぐらり、と揺れる体。 とろ〜ん、とまぶたが落ちている。 「私、こーゆーのは効かないハズなんですけどぉ〜…………」 暗殺者として、そーゆー訓練を受けてたんだろう。 だけどね………。 「……パッフェルさん、きっと働きスギですよ〜。ちょっと休んだらどうですか〜?」 「そ、そうですかねぇ〜…………あ、ふ……もう、ダメですぅ〜…………」 すぅ、と安らかな寝息を立てて、地面に崩れ落ちるパッフェルさん。 テテを呼び終えたケルマは、自分の兵士が、もはや誰もいないことに気づいて、フルフルと身体を振るわせた。 「えぇい、使えないですわねぇ!…………それならば…………テテ!攻撃なさい!」 ケルマに召喚されたテテが、突撃してくる。 ちっさいんだけど、痛いんだよな、これが…………。 「…………あ〜〜〜!!!うざってェ!」 あ、バルレルが切れてる。 …………まぁ、気持ちはわからないでもない。テテってば、すばしっこいから、攻撃しようと思うと、ダッシュで逃げたり、とにかくちょこまかちょこまかと動き回る。 「…………ふふっ…………」 妖しげな笑い声が、聞こえた。 こぉんな妖しい笑い声ができるのは…………ケルマただ1人。 「みぃんな、私の虜になっておしまいなさい!」 現れたのは………… 「やっぱりかあぁぁぁぁぁ!!!」 妖艶なお姉さん!しかも、パワーアップしてる!(色んな意味で!胸とか!?) 「ちょっ、みんな、私の側に…………!」 「ラブミーバースト!ですわ!」 「ぎゃあぁぁあぁ!!!範囲広スギ〜〜〜!!!」 私の側に来れなかった人…………というか、ミニスとネスティとバルレル以外、みぃんなぽわわ〜ん、とした表情になる。 あぁ!固まって移動してたのが、災いしたあぁぁぁ!!! 「ほ〜っほっほっほ!あなたの邪悪なオーラも、レベルアップした私の魅力溢れるオーラには勝てなかったようですわね!みんな、私の可愛い虜ですわ」 「っていうか、ケルマの虜じゃなくて、こっちのお姉さんの虜でしょ!?」 「細かいことは気にしないのが、いい女というものですわ!!」 「んなワケあるかぁぁぁぁ!!!」 とにかくみんなを正気に戻さなきゃ! っても、バルレルじゃ、ルニアで1人回復させるのがいっぱいいっぱいだし……。 「とりあえず…………アメル!元に戻って〜〜〜!!」 アメルに近づいて、ミーナシの滴を飲ませる。 マグナみたいに攻撃してこないから、楽だわ…………。 「あ、あら?」 「アメル、大丈夫?私、わかる?」 「は、はいっ!……あ、私ケルマさんの…………」 「そーそー……てなわけで、ちょっちみんなの回復してあげてくれる?アメルなら、ルニア使って、いっぱい治せるよね?」 「えぇ。…………でも、みんな体力もないみたいですけど…………」 「それは私が回復させるわ。トライクルセイズのクリムを呼べばいいから。治療効果も時々つくから、とりあえず、体力ない人たちのとこにやるね」 言うなり、ミニスはぼーっと視線を宙に漂わせてる男性陣(直接攻撃系は、召喚術に弱い)の中心に、ガッツリクリムをぶち込む。 これで、フォルテたちが回復したのはいいんだけど…………。 「まずいな……もう1発来るぞ」 ネスティが呟いたとおり、ケルマはもう、召喚術の準備をしている。 もう1度お姉さんの誘惑が来るのは、時間の問題だろう。 「これじゃ、堂々巡りだぞ……こっちが回復してるうちに、向こうが攻撃準備して……こっちの回復手段がなくなったら、終わりだ」 「…………う〜ん…………ねぇ、ネスティ、ちょっとここで耐えられる?」 途端に、ネスティが眉を寄せる。 「…………なにをするつもりだ?」 「んー…………私とバルレルで前に行って、サクッと倒してくる」 「なっ!?バカか君は!そんなの危険……」 「でも、やらなきゃ終わんないでしょ。大丈夫だよ、周りにはテテしかいないし。…………バルレルが1人で突っ込んでも、魅了されるだけだし、私ひとりだと、返り討ちにあうだけだし」 「だが…………ッ!」 「このままだと、多分回復が間に合わなくなると思う。…………どーやら、ウォーデン家当主ってのも名目だけじゃないみたいで、そうとう魔力もあるみたいだしね」 「………………仕方あるまい。ここは、僕達が引き受けた。まぁ、近づきすぎなければなんとかなるだろうし」 「うし。…………バルレル、聞いてたよね?」 「…………オウ。…………ケッ……年増は性に合わないんだよな…………」 「誰が年増ですってぇ〜!?」 「…………オマケに地獄耳ときた……あーあ…………」 「しょーがないでしょ。…………んじゃ、行ってきます」 「、気をつけろよ。…………あぁ、そうだ」 ネスティがゴソゴソと懐を探って、召喚石を取り出す。 透明の―――無色の召喚石だ。 「これなら君も扱えるだろう。使い方は僕達のを見てきたから知ってるな?」 「う、うん…………ちなみに、これ、なに?」 「ロックマテリアルだ。…………まぁ、使わないにこしたことはないが」 「そんなの、使うまでもねェ。おい、。さっさと行くぞ」 でも一応ネスティから石を受け取り、バルレルと一緒に前へ進んだ。 途中、ぽわわ〜ん、な人々の間を通過したんだけど。 …………いっや〜、怖いのなんのって。 まだね、レシィとかモーリンは素手だから、近くまで行かないと攻撃してこないんだけど…………。直接攻撃系のマグナやフォルテやリューグとかの近くに行くと、途端に襲い掛かってくるんだから! こーらー!フォルテ!スケベそーな顔して襲ってくるなぁぁぁ!! 「うわあぁぁぁ!?」 突然フォルテに掴まれた! うわー!!!私、味方に殺されるー!? と思ったら。 フォルテは、剣じゃなくて…………顔を近づけてきた。 思いっきり『ちゅ〜〜〜vv』っていう顔。 「い、いろんな意味でやあぁぁぁぁ!!!!」 ゴィンッ!!! 「ぐぱぁっ!?」 バルレルの槍の柄が見事ヒット! 地面にべちゃりと倒れこんだフォルテを、バルレルが荒い息を吐きながら、蹴っ飛ばす(酷) 「油断も隙もねぇ奴だぜ、まったく…………」 「ば、バルレル、さんきゅ〜…………」 「オラッ!さっさと終わらせるぞ!」 「な、なに急にやる気になっちゃって」 「んなこたぁ、どーでもいいんだよ!」 「???」 私は、バルレルに腕をひっぱられながら、ケルマに近づいた。 「ふふっ…………ついに、いらしたわね…………さぁっ!パワーアップした私の魅力に取り付かれなさい!…………ラブミーストーム!」 妖艶なお姉さんが現れて、パチリッ、とウインクするけど。 あのねー…………。 「私には効かないから……っていうか、みんなに効いたの、範囲が広かったからだけだし」 当然のごとく、私とバルレルはなんともなく、その場に立っていた。 どうも、ケルマは『自分の魅力がパワーアップしたから、みんなに召喚術が効いた』と思ってたらしい。 ぱかっ、と口を大きく開けて立ち尽くすケルマに――― 「…………ったく、迷惑な年増だぜ…………」 バルレルが背後からコンコンコン、と槍の柄で殴った。 テテとかも、いつの間にか治療されてたみんなに、さっくり倒されてて。 こうして、ウォーデン家とマーン家の宿命の対決は、終わりを告げられた。 NEXT |