仲間が増えた

いっぱい仲間がいるって

すっごいいいことだと思う!!




Scene.23  つかの間の休息。



帰りは、消費MPの心配もなくなったので、さっさかさっさか楽をして帰ってきた。
はぐれ召喚獣に会えば、ミモザ姉さんたちが(というか、主にミモザ姉さん)、出会い頭にでっかい召喚術をどっかーん!!とやって、蹴散らす。それを見た残ったはぐれは、サーッと顔色(あるのかわかんないけど)を変えて、去っていく。打撃攻撃の面々(ジンガやバノッサ)はすっかり傍観者を決め込んでいて、戦う気配すらない。

「あ。思い出した」

「ソルっち。どうしたの?」

ソルは私のことを、すっかりさっぱり無視してくださって(怒)トウヤに近寄った。

「トウヤ、あれ出してくれ。あれ!」

「あれって言われても…………なんのことだい?」

「カイナから貰ったよな?荒天華玉!あれがあれば、ツヴァイレライが召喚できる。それに乗って帰ったほうが、早い!」

ぽむっとみんなで手を叩く。……っていうか、なんで気がつかなかったんだという表情。ちっ……もっと、楽に帰れたのに!!

ソルが、荒天華玉と霊のサモナイト石を持って、精神を集中させる。
小さく口の中で言葉を呟いている。よく聞こえなかった。
けど、明らかに石が光を帯びてきて。

「召喚師ソルが命じる…………」

その部分だけ聞こえてきた。
聞こえた、と思ったら、すぐに光が湧き出てきて。
グガァァァ!!
…………うひゃぁぁ。

私が1歩引いてる間に、みんなぞくぞくと乗る。
ついに決心して、前に出る。

が。

「………………………乗らないみたいだね」

最後になった私が乗るスペースはどこにもない。
ギリでカイナが掴まってるくらいだ。
う〜ん…………と唸ってから。

「あ。そーだ。………………アシュタル、来て」

ポソリと呟くと、すぐにアシュタルが横に現れた。
…………大分上手くなったぞ、私。

「………………呼んだか」

「呼んだ」

「……何の用だ」

私をサイジェントに連れてってvv

「………………………」

…………このネタ、通じないか…………(チッ)

みんなはというと、初めて見た(バノッサを除く)霊界の最上級の召喚獣に、あっけに取られてる。
メンバーは霊属性の方が多いから、文献とかでは知ってるのだろうけど、実物を見るのは初めてなのだろう。

「そーだ。アシュタル、みんなに挨拶」

「…………なぜ俺が」

「挨拶!!」

「…………………………………………アシュタルだ」

「それだけかよ!」

他になにを言えと(汗)

そりゃそーだ。
そして、みんなに向き直って。

「私、アシュタルに連れてってもらうことにするわ。どー見てもそれ以上乗らないし」

「なんなら、おれっち、走ってくぜ?」

「ジンガ…………実行しそうだから言っとく。やめとけ(キッパリ)

「でも、大丈夫なのか?アシュタルは人型だし……」

トウヤの言葉に、アシュタルが、む、と顔をしかめる。

「飛ぶ速さじゃ、ツヴァイレライに負けん」

ツヴァイレライの瞳も光った(怖っ)

「でも、でっかい荷物だぜ?」

バノッサがイジワルを言う(怒)

「バノッサ、荷物って言うな〜!」

「多少荷物が増えたところで、支障はない」

「だから、荷物って言うな!!」

私がそう言ってるのに、アシュタルは、ひょいっと米俵を持つように、横脇に抱える。
そして、隣にいるツヴァイレライの肩(?)を叩いた。

「ツヴァイレライ…………どちらが早くつけるか競争だ」

のった。とでも言うように、ツヴァイレライが、くん、と前を向く。
ちょ、ちょっと待って…………。
も、もしかして…………
このままで行くつもり!?

「行くぞ…………おい、誰かなにか言ってくれ」

「は〜いはい!!ミモザお姉さんがやってあげるわよ〜!!…………よーい、ドンッvv」

ドンッ!!!

「うっわぁぁぁぁぁぁ!!!!やっぱりぃぃぃぃぃ〜〜〜!!」

ドンッ!と同時に同じくドンッ!と音を立てて前進したのだ、コイツは!!!
涙が……涙が後ろに流れていくのがわかった…………。




「こ、怖かった…………地上最強に怖かった…………」

は〜は〜と荒い息が口から漏れる。
その原因ともいえるアシュタルといえば、涼しい顔してツヴァイレライを見ている。

「俺の勝ちだ」

グガァァ…………。

なんとなく沈んだ声。
………………やばい、今、ツヴァイレライが、可愛く思えてしまったぞ(笑)

「アシュタル、とーりーあーえーず、ありがと。戻る?」

「……………なんか、憎しみがこもっている気がするが……まぁ、戻る」

「お疲れ」

アシュタルは、不思議そうな顔をして、シュウン、と音を立てて消え去った。

「……さて、と。1回、それぞれの場所に戻るか。もう、他のところも戻ってるだろ」

「なんだかんだ言って、結構時間使っちゃったからね」

じゃあ、と別れようとすると、トウヤがふと立ち止まって、そうだ、といった。

「……明日、城にいる黒装束の男たちを倒す」

「……わかった。明日の朝、フラットへ行けばいい?」

「あぁ。…………おそらく、長い戦いになる。準備を整えて来てくれ」

「言われるまでもねェ。……行くぞ、居候」

「あ、うん。……じゃあね。みんなによろしく言っといて!」

歩き始めたバノッサについて歩き始める。

ピクン、と何かを感じて歩くのを止めた。

「…………どうした、居候」

「ん、なんでもない」

「………………痛むんだったら、そう言えよ」

「………………バノッサが優しいなんて、キモチワルイ」

「………………もう、ぜってー気遣ってやらねェ(怒)」

「あぁっ!!ゴメンナサイ!!」

「オラ、さっさと行くぞ」

頭の底に感じた違和感は、すでになくなっていた。



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