…………ゲームしてたときから気になってはいたんだけど。

現在、気にせずにはいられない状況になりました。

……………………鬼神の谷、寒いっちゅーねん!!!(怒)





Scene.22  共に行こう。



真っ白な 雪が肩へと 降り積もる (5・7・5)

………………と、悠長に俳句を作っている場合じゃない!←俳句と呼べる代物か?

「な、なななな、なんだよぅぅ、この寒さ!!!ほんっと、寒いって!!!」

「寒いわね〜」

「って、ミモザ姉さん、そんな薄着で大丈夫なの!?」

「いちいち、ギャアギャアうるせェんだよ、居候」

「うぁっ!!!こっちの方がさらに薄着だ!!!

ゴンッ!!

………………心温まる、あつーい拳をいただきました。

「なぁなぁ、。あれ、なんだかわかるか?」

「なんだい、ジンガくん。この私になんでも聞きなさい」

くるりと振り向くと、見慣れた、赤いものが。
……………うぉぉぉぉ!?こ、これはもしや!!!
我が祖国にある、例のもの!?

近づいてって、ペタペタ触る。

「や、やっぱり!!この赤さ!この丸さ!!…………鳥居だ!!!トーヤー!!!」

「どうし……あれ?鳥居がなんでここに…………」

「鳥居だよ、鳥居!!わぁ、久しぶりだね、ジャパン!!!

「…………………………あのー…………」

「あぁ、懐かしい〜。お参りしたいよ!………………って、何か言った?」

みんなが、首を振る。
ん?声が聞こえた気がしたんだけど。

「…………………………あのー…………」

「はい?」

「あ、やっと気づいてくれましたか」

鳥居の向こう側から、巫女さん(もとい、カイナ)が!!!

「巫女さん!巫女さんだ〜〜〜!!!」

勝手に手を握って、ぶんぶん振る。え?え?と疑問符を浮かべまくるが、おかまいなしだ!(オイ)触ったもん勝ちでしょう!!
…………バノッサにまた、拳を貰ってしまった。

「…………ふぅ。えっと、誓約者さんご一行ですね?お待ちしておりました。鬼神の谷で、シルターンのエルゴをお守りする者。鬼道の巫女、カイナ、と申します」

知ってます!!!知ってま〜す!!!(心の中で全力挙手)
貴方のお姉さんがケイナさんだってことも、知ってます!!!

「それでは…………早速ですが、ためさせていただきます!」

「んNO〜〜〜〜!!

叫び声をさっくり無視して、戦闘になってしまいました…………。



「はぁっ!!」

トウヤの剣が、鬼をなぎ払う。
ジンガがバキバキ殴り倒す。

あぁ…………道が、道が出来ていく…………(遠い目)
Going my wayを通り越して、Making my wayだよ…………。

「オイッ!!!」

「はい?」

かけられた声にのんびり後ろを振り向くと。
バノッサに蹴っ飛ばされて吹っ飛ぶ鬼を目の当たりに。

「あわわわわ…………し、心臓に悪いから、やめてよね!!」

「テメェ…………ボケボケすんな!数じゃこっちが負けてんじゃねェか!」

としゃべりながらも、また鬼を1人(1匹?)切る。
血が、血がぁぁぁぁぁぁ!!!
す、スプラッタ………………。

「そ、そんなこと言ったって、すでにもう敵、少ないじゃん…………」

「あぁ?」

バノッサが周りを見ると、道を作って先へ進んでいる誓約者さまとパートナー様、それにジンガが目に入ったらしい。

「………………………」

「ギブミモなんて、ジンガの後ろにくっついて、リプシーとプラーマ呼んでるだけだよ」

「………………………」

「あ、トウヤが最後の鬼、倒しちゃった」

意気揚々と、ジンガがカイナに近づくのが見えた。
そして、ふと気づく。

「……………………あ」

「あ?」

カイナが、にっこり笑った(気がした。よく見えなかったけど)
鈴が、シャリンシャリン、と鳴った次の瞬間、空中にこれぞまさしく鬼!!って感じの物体が出てきて…………。
ジンガに襲い掛かった…………というか、覆いかぶさったという表現のほうが適切。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ドッカーン!!!

な、生鬼神斬…………。

確かジンガって……ジンガって………………。

ものっすごく召喚魔法に弱かった気が…………。

光が消えて、ドサリとジンガの体が地面に落ちた。意識はないらしく、目があっちの世界に行っている。うわ言で『地獄が…………』とか言ってるところを見ると、命に別状はないらしいが。

「あぁぁぁ!!やっぱりぃぃぃ〜〜〜!!!」

続けて、カイナが笑って(怖っ)こちらを向いた。
うあぁぁぁぁぁぁ!!ちょっと待って!!
そんなの(鬼神斬)発動されたら。

普通、死ぬから。←つまり、こいつらは普通じゃないといいたい。

そんなことを考えている間にも、カイナは口の中でなにやらブツブツ呟いている。

「チッ……………!」

バノッサが舌打ちして、剣を握りなおして地面を蹴る。
でも、そのときにはカイナの詠唱は終わってて。
自分に向かってくる敵に、両手を突き出した。
いくらバノッサだって、鬼神斬もろに食らったらやばいよ!!

あぁ!!!ケイナさんとホクトさん(カイナの兄の名前)がいる!!!!

「え!?」

急に戦意を失った相手に、バノッサは拍子抜けしたのか、がくっと地面に落ちた。
そして、私はすばやくカイナに近づくと。

「ごめん、カイナ!!!」

叫んで、カイナの両足を払った。

派手に転んだカイナは、しばらく目を覚まさなかった。





「ご迷惑をおかけして申し訳ありません…………」

目を覚ましたカイナは、介抱されている事に気づくと、開口一番そういった。

「気にしないでください。私のせいだし。ほんっとゴメンナサイ!痛かった…………ですよね」

思いっきり、後頭部から落ちたもんな……まさか、あそこまでキレイに決まるとは思ってなかったんだよ。にわかじこみ、足払いが。

『よくぞ試練に打ち勝った』

頭の中に、声が響く。
トウヤが、不思議そうに上を見上げた。

『お前の力は誓約者の名にふさわしい。シルターンのエルゴの力を受け取るがいい』

その声が終わるとともに、トウヤが紅い光に包まれた。すぐ消えたけど。

「なんか…………不思議な感じだな」

「これで、私もお役目を果たすことができました」

「で?お役目が終わったら、どうするんだ?」

ジンガの問いに、カイナはしばし笑顔のまま固まる。
ミモザが驚いたように、聞いた。

「…………………もしかして、なにも考えてない、とか言うんじゃないでしょうね?」

「………………………」

「…………図星、だな」

「今までお役目のことしか考えておりませんでしたので……恥ずかしながら、この谷を出たこともないのです」

「………………………………考えられねぇ」

ジンガの頭をポカリと殴る。そりゃそーでしょーよ、格闘の旅に出てる君にとっては。

「このまま、一生ここで過ごすつもりか?」

「バノッサ…………」

「もし、よかったら、一緒にこないか?僕たちは、まだやることがあるんだ。力になって欲しい」

「トウヤさん…………」

カイナは迷ってるみたいだ。
そりゃそーだよね。今まで過ごしてきたところを出て、なんにも知らない世界へ出るんだもん。不安なはずだ。
でも、きっとここよりも楽しい。
………………帰ろうと思えば、帰れるし。

「一緒に行こうよ!絶対、楽しいから!!」

私の言葉に、カイナは最初、ポカンとした。
でも、徐々に笑顔になっていって。

「…………はい!私でよろしければ、お手伝いさせていただきます!」


こうして、雪が降る谷で、新しい仲間が出来た。




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