出発したのはいいんだけどさぁ…………。

なんっか、どうもピクニックみたいな感じがするのは

私だけですか???





Scene.21  旅の途中で。



サイジェントの街を出てすぐに、私は自己紹介をした。
ギブミモがいるからね。一応(向こうにとっては)はじめまして、だし。

って言います〜。そこにいる、美白国王バカノッサの家で、居候やってます。よろしくお願いします〜」

「誰が、美白国王だゴルァ!!!」

バノッサの叫びは無視して。
柔らかく微笑みを浮かべたギブソンさんを見る。

「ギブソン・ジラール。見てわかるとおり、召喚師だ。よろしく」

「ミモザよ〜!!いや〜………かわいいわねぇ、ちゃんvvミモザ姉さんって呼んでね〜」

「は〜い!!!」

うわぁ、ギブミモだ!!正真正銘のギブミモだ〜〜〜!!!
改めて、まじまじと見る。
………………あぁ、ギブソンさん、この微笑を浮かべながら、ケーキを食べるのね………(笑)

「おい、居候」

ギクリ。
背後から聞こえた声に、寒気を覚える。

「だぁれが、美白国王だって?あぁ?だったら、テメーはバカ国王だ!!」

「うぁっ!ひどいと思わない!?ちょっと!!」

「おれっち、どっちの味方につくのも怖い」

「ジンガ、なんだって?…………ってか、ジンガのほうが、バカ国王じゃん!!

のほうがヒドイと思うんだけど…………」

「トウヤ…………」

「まぁまぁ。国王と女王でいいじゃないか?

「ソルっち!!!」

「ソルっちってなんだよ…………」

こんな会話をしてるから、ピクニック気分になるんだよなぁ…………。




夕方になって、日も暮れて。
これ以上、闇の中を進むのは危険だということになって、森の中で、少し開けたところに夜営の準備を始めた。

「干し肉と、パンはあるから。とりあえず、火をおこそう」

てきぱきとしたソルの指示。
すぐにトウヤとジンガが薪拾いに行った。

「バノッサも行けば?」

「あぁ?なんでオレ様がそんなことしなくちゃならねーんだよ」

と傍若無人なさま。そのうち、ソルがなにか食べられるものがあるか探してくる、とその場を離れた。

「ん〜…………どうしようかしらね?」

「水がいるだろうし…………私、水汲みにいってきます!」

「あらそう?…………じゃ、バノッサ一緒にいってあげてくださいな」

「んなっ、なんでオレが…………」

「ギブソンの細い腕じゃ、水汲んでこれるのも、たかが知れてるわよ。かといって、私が行ってもね…………だから、私とギブソンはここで待ってるから、いってらっしゃいな」

ニッコリとミモザの笑顔で、バノッサは軽く切れながらも、反論できないことを悟ったらしく、水筒と、皮袋(少しの間は水が漏れない)を持って、行くぞ、と目で先導した。




干し肉のスープに、パンがメインで、ソルが採ってきた木の実が夕食だった。外で作るご飯は、いつもよりおいしく出来た気がして嬉しかった(カノンのご飯もおいしいけど)
焚き火を続けたまま、みな、思い思いに寝っころがる。
その日は、明日に備えて早く寝た。


夜中、ふと気配を感じて、いつもは絶対に起きないはずなのに、目を覚ました。
少し、肌寒さに身震いする。
そして、気づく。右隣に寝ていたはずの、バノッサの姿が見当たらない。
むくり、と起き上がって、あたりを見回す。

「…………なんだ、居候。起きたのか?」

「…………バノッサ?」

焚き火のそばで、胡坐をかいて毛布に包まってるバノッサが!!!
思わず、眠いのも忘れて、笑いそうになってしまった(けど、みんな寝てるので我慢した)

「…………な、なにしてるの?」

「あぁ?見張りだよ、見張り。馬鹿な召喚獣どもが襲ってくるかもしれねェだろうが」

「…………なんだかんだ言って、貢献してるじゃん…………」

「なんか言ったか?」

「いえいえ(汗)」

バノッサが睨むので、即効否定。

「………………おい」

「はい?」

「…………寒くねェのか?」

「…………………………そーいえば、寒い」

「馬鹿野郎。さっさとこっち来い」

呼ばれるままに、火のそばへ行く。
ぐいっ、と引っ張られて、毛布の中に入れられた。

バノッサ近い……!
でも、当の本人は全然気にしてないみたいだし、私だけが慌てるのもなんだか癪に障ったので、なんでもないふりをした(見栄っ張り)。
しばらくすれば、寒さは感じなくなった。

「……………………あ」

「なんだ」

「今日の単語、教えてもらってない」

「あぁ?…………そーだな、じゃあ、今日は『好き』だ」

カリ、近くにあった小枝で地面に文字を書く。

「ふむふむ…………じゃあ、これを組み合わせて使うと…………」

私も小枝を拾って地面に書く。

『私は ダンゴが 好き』

「…………………」

無言なところを見ると、あってるな(ニヤリ)
調子に乗ったので、もう1文、地面に書く。

『バノッサは 野菜が 好きではない』

否定の言葉を入れて、作ってみた。
コツン、と殴られる。

「くだんねェこと書くな」

「事実じゃん。野菜食べないから、いつまでたっても美白なんだよ」

「はぁ?」

「色素抜けちゃってるしさ〜。メラニン色素、注射してやりたいよ」

「………………さっさと寝ろ」

意味がわからなかったらしく、バノッサは逃げた。
私を抱え込むようにして、目を閉じる。
…………あのさぁ、やっぱり。
顔が近くて困るんですけど(汗)
でも、先ほどの理由&疲れからか、結局、私はそのまま寝てしまった。

………………翌朝、バノッサに抱きかかえられて起きたのには、ビックリしたよ。




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