朝起きたら、珍しくカノンがいなくって。

テーブルの上におかれた、朝食とメモを見て考え込んだ。

…………これ、なんて書いてあるのかな?(汗)





Scene.11  文字の重要性。



15分経過。
何も動かず、何も起こらない。
カノンはまだ帰ってこない。

「…………美白キングに聞いてみよう……」

2階へあがって、バノッサの部屋のドアを開ける。

「ねぇ、バノ……」

目が、あった。

「………………ふぎゃ〜〜〜〜!!!!」

「変な声だすな!!!つーか、ノックくらいしろ!!」

そこには、上半身裸で(これはいつものことか)、ズボンのボタンが取れているバノッサが。

「だ、だだだ、だって…………なんで脱いでんのさ!?サービス!?(もう、目が釘付け)」

「はぁ!?…………着替えてるに決まってんだろ?さっさと出てけ。…………見たいのか?」

見たいけど!!!そのたくましい肉体を堪能したいけど!!(心の声)
さすがにヒトとしてやばいかな、と思ったので部屋を出てく。
すぐに、バノッサが出てきた。

「ったく…………ノックくらいしろ、馬鹿が」

コツン、と頭を小突かれた。
衝撃を受けたあたりをさすりながら、歩きだしたバノッサの後をついていく。

「で?なんの用だ?」

いっつも、バノッサだってしてないじゃん…………あ、あのね。カノンがいないんだ。……メモが置いてあったんだけど、読めなくって」

階段を下りて、テーブルの上に置いてあったメモを取る。。
先ほど読んだ…………いや、見た、記号の羅列のメモ。改めてみてると、後ろから奪われた(怒)

「…………後ろからとるなんて、ヒキョーだ

「あぁ?………………カノンは仕事だってよ」

意外な言葉に、目を瞬かせる。

「…………仕事?」

「臨時で時々するんだよ。メシ屋でな」

「へぇ〜…………」

もう1度、そのメモを覗き込むが…………あぁ、変な記号の羅列にしか見えない……。
そこで、ピーンと来た。

「…………ねぇ、バノッサ。文字、教えて」

「…………あぁ?」

水を取ってきたバノッサは、私の突然の言葉に、眠そうな目をちょっと見開く。

「だって、読めなきゃ不便だよ。今日みたいなことだってあるし。逆に、私が書置きして出かけるかもしれないし」

「…………必要あるのか?」

「だって、日本語で書いてもわかんないでしょ?…………教えて〜〜〜!!!」

「だぁ!!!わかったから、さっさとメシ食え!!!片付けっぞ!!!」

「あっ、ちょ、待ってよ!!バノッサだって、食べてないじゃん!!!」

「オレ様はゆっくり食うからいいんだよ」

「私だって、ゆっくり食べるもん。…………いっただっきまーす」

パクン、とカノンの作った料理―――ケチャップライスに似ている―――を口に入れる。
トマトに似た味だが、少しピリ辛。
…………あぁ、旨い…………(悦)

バノッサが呆れたようにこちらを見ている。

「オマエ…………ホンット旨そうに食うよな」

「おいしいもん。ぼーっとしてると、バノッサの食べるよ?」

バノッサは、視線をご飯に戻すと、食べ始めた。
しーん、と静かな空気。
…………今気づいたんだけど。
カノンがいないってことは、2人っきりじゃん!?
…………わーぉ。なに話そうかしら(汗)

『今日も天気いいよね〜』

…………だめだ、そうだな、の一言で終わる。

『やっぱり、カノンのご飯はおいしいよね〜』

…………だめだ、あぁ、で終わる!更に短い

『バノッサも料理すれば?』

…………だめだ!!!!完璧に無視される!!!

カタン、と席を立つ音。

「…………バノッサ、もう食べ終わったの!?早いよ!!」

「テメェが遅ェんだよ。百面相してる暇があったら、とっとと食え」

み、見られてたのか…………。
急いでごはんを胃に収めると、食べ終わった食器を持って、台所へ。

「…………バノッサ?」

「…………んだよ」

「…………バノッサが、食器洗いしてる」

「…………テメェ、オレ様のこと馬鹿にしてんだろ」

「め、滅相もない!!!」

「オラ、さっさと皿貸しやがれ」

お皿を取られる。でっかい手で、軽く食器をこすってはすすいで、洗い上げていく。
に、似合わない光景だこと…………!!!

「わ、私、お皿拭いてるね…………!!」

ちょっと笑いを堪えきれなくなった。皿拭きで紛らわそう。
カチャカチャと食器の触れる音だけがする。

バノッサが皿を洗い、私が拭く。

…………。

「…………ねぇ、バノッサ」

「あぁ?」

「…………なんか、夫婦みたいだね〜。…………なんちゃって」

笑って、バノッサを見れば。

なんと、そこには少し顔が赤くなったバノッサが!!!!
食器を洗う手も止まっている。

思わず、ぶふっとハヤトよろしく噴出してしまった。

「…………おい、いそうろ…………」

あ〜〜〜〜っはっはっはっはっは!!!!バノッサの顔が赤い〜〜〜!!!!あ〜〜〜〜っはっはっはっは!!!(大爆笑)

「………………(怒)オラ!!!文字勉強するんだろ!!!さっさと行くぞ!!!!」

きびすを返して、部屋に戻るバノッサ。
私は、まだお腹を抱えて笑っていた。



「〜〜〜〜〜だから!!!!なんで、覚えらんねーんだ、オマエは!!!」

「だって、こんなの見たことないもん!!!覚えろっても、思考がついていかないんだよ!!!」

「…………じゃあ、これは!?」

指差された文字(?)と思わしきもの。

「え〜っと…………えっと…………リィンバウム?」

「…………よし。これは?」

「あっ!!!これはわかってるよ!!バノッサでしょ!?」

何もいわないところを見ると、正解だな(ニヤリ)
バノッサっていう文字の形はわかりやすい。なんか、雰囲気がバノッサ〜っていうか、なんていうか……(なんだそりゃ)

「でも、ここの文字、表音文字で助かったよ……」

「あぁ?ヒョーオン文字?」

「だって、漢字みたいだったら、1を見て10を理解しろ、だもんね〜」

「(何言ってんだ、コイツ)…………オラ、とっとと覚えろ」

「…………わかんな〜い…………」

「………………居候……覚える気、あんのか?(怒)

ありますとも(汗)

はぁ〜…………とバノッサは、大きくため息をつくと。
がしがしと紙になにかを書く。

「…………とりあえず、これだけ覚えろ」

「なにこれ?」

「オマエの名前だ。…………覚えろ」

「ハイ……ガンバリマス」

「それ覚えたら、1個ずつ単語教えてやる」

「りょーかい!!!」

かくして、私は毎日メモと格闘することになった。

NEXT