たまに景吾は、何かを確かめるように私のことを抱きしめる。
どこにも行かないというのに、まるで私を引き止めるように……求められることもある。
いや、まぁ……思春期まっさかりの年齢だから、むしろ健全なのかもしれないけど。
それに……たまに、確かめるように「……俺様のこと、好きか?」なんて聞いてくる。半分は冗談めかしているけれど、それが少し真剣な時もあって。

どうにかして、ちゃんと私が景吾をすっごく好きなことを伝えられないかな、なんて考えた。
そして行き着いた答えは。



への想いの、伝え方



ドキドキ、と自分でも動悸が強くなっているのを感じていた。
今日は土曜日。明日は部活がないから―――大体、身体を重ねる日になっている。

……うわ、なんかすごい緊張してきた……!

一人でそわそわしていると、

。……ほら」

ぽんぽん、と景吾がベッドを叩いて、私を呼んだ。
ゆっくりと近づいていき、恥ずかしさからシーツにくるまる。

「……お前、まさか寝る気じゃねぇだろうな?」

「へっ?え、あの……」

私の戸惑った声は、景吾の質問を否定するものだ。それに満足したのだろう。景吾は何も言わずに手をひとつ叩いて、部屋の電気を消す。
ナイトランプが仄かに部屋を照らし出す中、景吾が私を引き寄せた。

「…………

「……ん」

そのまま顔を近づけてきたので、私は目を閉じた。……唇に、柔らかな感触。
もう1度小さく名前を言った後、景吾は私の唇を指先でなぞり―――そのあとを追って、また唇が降りてくる。

景吾の右手が、私の胸のあたりで動き始めた。
手のひらが円を描くように、胸をさする。

「……んっ…………はぁっ……」

いつの間にパジャマのシャツの中に入ってきたのか、左手だけでホックを外され、ブラが抜き取られた。
右手もシャツの中に入ってきて―――今度は、直接、触られる。

「……もう、固くなってるぜ?」

手のひらで胸の突起を刺激される。
景吾の右手が円を描くたびにひっかかって、こすれる感じが……気持ちいい。

「やっ……なんで言うかな、そういうこと……っ……」

「あーん?……お前が言葉攻め好きなの知ってるからだ」

耳元で囁かれると、ゾクゾクッと快感が背筋を走る。

「……ほら、耳が弱いのも知ってる」

ちゅ、と音を立てて景吾がキスをしてくる。
そのまま胸に頭が移動すると―――柔らかい舌で、突起が転がされるのを感じた。

「あっ……ゃんっ……」

「ほら……気持ちいいんだろ?」

「っ……んぁっ……」

「……次はどこがいい?」

「…ひゃぁ…っ……あぁっ……ちょっ……ちょっ、待っ……て……!」

私は、シャツを下し、身体をずらすことで、景吾の攻撃から逃げる。

「……なんだよ?どうかしたのか?」

頭を引き寄せられ、続きを促すようにキスされそうになるのをすんでで止める。

「今日……今日は、私……!」

「あーん?なんだ?……今日はできない日とかじゃねぇよな?予定日はまだだろ」

なんでこの人は人の生理のことをちゃんと覚えてるんだ!
……って違う!

「ちがっ……そうじゃなくて……その、今日は!」

一気に顔に熱が集中するのがわかる。……けど、声を振り絞って。

「…………私が、景吾に、する……」

勇気とか頑張りとかすべて総動員して述べたその言葉に―――景吾は目を見開くだけだった。
……なんにも、反応しない。
だから、もう1度。体中の勇気をかき集めて、言った。

「だから……そのっ!……今日は、私が景吾に……する……」





言われた言葉が、一瞬理解できなかった。
だがそのうち―――顔を真赤にして、少しうつむいたを見て、ようやく理解した。

「…………どこで覚えてきたんだよ、そんなセリフ」

「…………そりゃ……色々な、とこで……」

赤くなって口ごもる姿が究極に可愛くて、愛しくて―――あぁ、もう。めちゃくちゃにしてやりてぇ。
だが、せっかくが可愛いことを言うのだから、ここで俺が壊すわけにはいかねぇ。

「じゃ……やってもらおうか」

「……うん。あっ、でも……その……絶対、うまくないけど……」

「あぁん?……んなもん、関係ねぇよ」

「う、うん……え、っと……」

そっと、の手が伸びる。
さっきに触れている時点で、すでに俺は興奮していた。その膨らみを、服越しにが軽く撫でてくる。
……それだけでも、クる。

先ほど俺がの胸を弄んでいたように、の手はゆるゆると円を描いていて。
……その刺激に、焦らされる。

「…………っは……っ……」

思わず吐息が漏れてしまった。
はちらり、と俺の顔を見ると、左手を伸ばし―――

「……っ……!」

―――柔らかな手が俺自身に触れた瞬間、その刺激は背筋に快感を走らせた。
の手が俺自身を包み―――指が、先端を弄ぶ。すでにそこは先走りの液が出ていて、いやらしい水音が鳴っていた。

「……ね、景吾……どうして、欲しい……?」

静かな声で、俺にそう問いかけるは……いつもとは違って、酷く妖艶だった。
問いかけながらも、指は止まらない。……おい、お前どこでそんなテクニック覚えてきたんだよ……!

「……っ…舐めてくれ……」

「……ん」

頷くと、は少しためらいがちに―――俺のものに舌を伸ばす。
柔らかい舌が先端に絡みつくだけで、快感が腰から巡ってきた。……まだ、早ぇだろ……っ!

大きく深呼吸して、衝動を紛らわす。
……やべぇな……想像以上、だ……。

クチュクチュ……といやらしい水音が、響く。

なんとか刺激に耐えようと、自分でも眉間にシワが寄っていくのがわかった。

それを見たは、舐めるのをやめて、再度手だけで俺を弄び始める。

「……け、ご……やらし……」

「……っ…………!お前……っ」

その瞬間、の口内に俺は包まれた。
―――快感が脳を駆け巡り、に文句を言うことも出来ない。……コイツ……ッ!

「……すっごい色っぽい顔してる…………気持ちい?」

口に入れたまましゃべるから、それもまた、響く。
……わかったよ、今日は、特別だ……!

「……っ……あぁ……っ、すげぇ、イイ……っ」

俺の言葉に、がうれしそうに笑った。クソッ……可愛すぎて、また感じるじゃねーか……!

一生懸命、俺のために動くを見ていると……愛しさが募る。俺は、コイツに愛されているのか、という実感が湧いてくる。

幸せな気持ち―――そしてコイツを絶対守ってやるという意識が芽生える。
の髪を撫でながら、どこからその感情が来るものなのかわからないが、どうしようもなく愛しくて。

前後にの頭が動くたび、俺の余裕はなくなっていく。
の口が、手が、舌が。気持ちが。俺のモノを攻め立てる。脳内を快感だけが支配する。

「……っ……く、ぅ……ぁっ……!」

―――とうとう耐え切れなくて、の口の中に、欲望を放った。
驚いたのか、は少し目を見開いた。俺のものがビクビクと動くのが止まってから離れ―――コクン、と喉元が動き、嚥下した。

「……の、飲んじゃった……」

息を乱しながらそれを見ていた俺は、くしゃ、と己の髪の毛に手をやり、

「……バーカ」

そう言って、を抱きしめた。
……自分でも、やけに体温が高くて、動悸が激しくなっていることは自覚している。もそれを感じたのだろう。なにやら幸せそうに笑った。
俺は……思っていた以上に、に愛されているのかもしれない。
そう思ったら、また興奮してきた。
しばらくを抱きしめて、自分自身が落ち着くのを待つ。

「………………お前……どこで覚えたんだよ、そんなやり方……」

「えっと……まぁ、女の子には色々、とね……秘密があるのですよ……」

「……俺以外のヤツには、絶対にやるんじゃねーぞ」

「しませんて、そんな……あはは、景吾……かわいー……」

くすくす、と軽く笑う
……コイツは、もう絶対に俺から離さない。

そのためにも。

「…………さぁ。今度はお前の番だぜ」

…………今度は、俺がお前を良くする番。
俺がどれだけのことを愛しているか。
それを、伝えさせてもらうぜ?