「屋根の上につばベッ……ぃでっ……」

「……たった一行のセリフを噛むのはこの口か?あぁん?」

景吾が壮絶な笑みで、がっくんの頬を引っ張る。みょーんと伸びる頬が可愛い……じゃなくて、かわいそうだよ、景吾さん……!!





「おーい岳人ー……大丈夫ー……?」

「おうよー……そっちはどうよ、ジロー……」

「うーん……ちょっと、ダメ、かも……」

「がんばろーぜぇー……」

力なく受け答えをするチビーズ。
台本の読み合わせを始めて早数日。
みんななんとか覚えて、そろそろ演技を交えつつの練習になってきたんだけど……動きが入るとやはり勝手が違うらしい。

特にチビーズ2人は手こずっていて、景吾と侑士の完璧コンビにそれぞれみっちり特訓されていた。

「俺、最初のところは完璧なのにな……」

「あ、俺も俺もー。あーゆーとこは絶対噛まないで言えるC〜……」

そう2人はつぶやくと、しばらくして、パッと立ちあがってこちらに来た。

「??どしたの、2人とも?」

私の疑問の声に、ニィ〜……とチビーズが顔を見合わせる。……うん、可愛さでお姉さんを殺す気かな?(ニッコリ)

「嫁に来てみそ」

「俺の方が幸せに出来るC〜」

「!!!!!!ななな、なにを〜〜!!!」

いきなり言われた言葉。
私は衝撃のあまり、一瞬で顔に血が上るのを自覚した。
チビーズは私の反応を見て、ニカッと格別の笑顔を見せる。

、今のセリフだって!!」

「ほーら、俺たち完璧っしょ?」

「〜〜〜〜〜〜2人とも!私の心臓がオーバーヒートする!」

「―――ハハッ、、顔真っ赤!」

「シシシッ!チョー可愛E〜!」

私の顔を見て笑い転げる2人。
その笑顔に結局全てを許してしまう私。
…………の背後から。

「「――――――さて、2人とも。……その他の部分の練習、しような?」」

…………………妥協を許さない景吾と侑士の黒い影が現れ、さすがのチビーズの笑顔も一瞬でかき消えた。