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大切な人






好きだよ。

大好きだよ。

ずっとずっと、大好きだった。

だけど、あなたは私のことを『妹』扱い。

でも、

『妹』でもよかった。

『家族』でもよかった。

あなたにとって私が『大切』だったのなら―――。



今朝は珍しく早く目が覚めた。

いつもなら早く目が覚めてももう一度寝てしまうのだけれど……今日はなぜだか眠れなかった。

しょうがない……と私はかけてあった動きやすい服に着替えて外へ出た。

と。

「あ」

「……珍しいな、お前がこんなに早いなんて」

「……どうせ寝ボスケですよーだ」

ドアを開けたら、いた。

神奈川№1プレーヤーが。

「あいかわらず早いね、紳ちゃん」

紳ちゃんこと、牧紳一は持っていたボールをこちらへパスしてニヤリと笑う。

「……久しぶりに、一緒にやるか?」

バスケをやるか?の意味。私はニッコリ笑って言った。

「……手加減してくださいね、牧先輩vv」

ふっと笑うと、コートに突っ込んでいた大きな手を差し出してくれた。

彼にとっては妹のような存在だから、軽くそんなことが出来るのだと思う。

首が寒い……と思っていたら、黒いマフラーまでかけてくれた。

妹だから。

幼なじみだから。

恋愛対象じゃないから。

それでも心配してくれる事が嬉しくて。

私は笑った。

精一杯、妹の顔で。

笑って見せた。





久しぶりにやる紳ちゃんとのバスケは楽しかった。

やっぱり、神奈川№1はすごい。ドリブルなんて目をつぶっても世界一周できるんじゃないかな、って思うほど上手い。

「し、紳ちゃん……まじ、勘弁~……」

「なんだ、もう降参か?」

紳ちゃんがふっと気をゆるめた隙に、ひょいっとボールを奪う。

「あっ、待てコラ!」

「へっへ~んだ!隙をみせた紳ちゃんがわーるーいー!」

トンッとジャーンプ!!

ドベシッ!

横からデカイ手が飛んできた。

「……手加減は~?」

「お前にそんなのはないに決まってるだろ?」

「意地悪だぁぁぁ!!」

そのまま紳ちゃんはゴール。

私はもう疲れたので、とりあえずベンチに移動した。

「……紳ちゃん、おかしい~。どんな体力してんのさ~。どんな技術もってんのさ~」

「……自分で言うのもなんだが、その俺と互角にやってるお前もすごいぞ」

「それはどうもありがとうゴザイマス」

立ち上がって後ろからポコンとボールを奪って、そのままシュートしてやった。

ボコン。

……外した。

くそぅ、ここで入ってればかっこいいのに。

「……お前は腕開きすぎなんだよ」

「腕?」

「腕はちょっと窮屈だと思うくらいで丁度いいんだ」

「ん~……こう?」

私は右手を少し直角に近くした。これだけでも結構窮屈だ。

「違う違う……あぁ、額の真ん中でボール持つからだ。もうちょっと右側……う~ん……なんか違うんだよなぁ。お前誰に習った?ワンハンドシュート」

「紳ちゃんの見て適当に」

「……通りで似てると思った……だからだなぁ」

「……どーゆー感じ?やってみて」

「だから、もうちょっと右側にボールを持ってきて……」

全然わからない。

紳ちゃんはまた息を吐くと、私の後ろに立った。

「こうだって」

私の腕を握って後ろから抱えるようにしてシュートフォームを正してくれる。

……やばい、顔が赤くなる。

紳ちゃんは顔が赤くなったのを見たのか、寒いのか?なんていって、自分の上着を脱ごうとしてくれた。

優しい……紳ちゃんがみんなに信頼されているのは、厳しさの中にも優しさがあるからだと思う。

「大丈夫だよ、ありがと!……で?左手はそのままでOK?」

紳ちゃんは笑って教えてくれた。





昼休み。

ぽけーっと教室から中庭を眺めていたら、見覚えのあるひとつの影が目に映った。

あのポマードで固めたようなホスト系の髪。

ここからでもわかる、色黒の肌。

あれはまぎれもなく……

紳ちゃんだ。

なにやってるんだろう、とそのまま目だけで追う。

と、一匹の三毛猫が紳ちゃんに近づいていった。

紳ちゃんはしゃがみこんで、なにやらその猫にえさをあげてるみたいだった。

「ぷっ……紳ちゃんらしい……」

動物が好きな紳ちゃんは、よく野良猫などにえさをあげてた。

1人で私がぷぷぷ、と笑ってると、紳ちゃんがふっと顔をあげた。

ばちっ。

目が、あった。

わっ、と慌てて目をそらす。けど、やっぱり気になって中庭の方を見ると……

少しだけ目を細めた紳ちゃんがいた。

他の人にはあまり見せない、柔らかい笑顔を向けてくれた。

私もへへへ、と笑った。

それだけで幸せだった。





その日の放課後。

部活が終わって、帰ろうとした時。

靴箱を開けたら一通の手紙が入ってた。

もしかしてラブレター?

ちょっと期待してあけてみたら、いかにも男らしい汚い字。

これは……クラスメートで一番仲のいい友達の字だ。

『はじめまして、斎藤真奈美サン。

……なんつって、オレだよ~、ノブナガッス!

ラブレターだと思ったか?

カカカ、オレがお前にそんなの書くかばぁか!!

明日、昼休みバスケしねぇ?

今日誘おうと思ったら、お前、中庭ぼーっと見てるし。

体育館で弁当食ってるから、気が向いたらこいよ!

以上!海南のスーパールーキー、清田信長様でした!』

「ぷっ……馬鹿かノブは~!」

笑いがこらえられなくて、1人で笑ってしまった。

よし。明日は弁当もってって体育館で食べるかぁ!





学校の授業もほどほどに、私は早速弁当を持って体育館へ行った。

すでにそこにはもくもくと弁当を食べるノブの姿が。

「はぁ~い、お兄さん!隣空いてる?」

「やぁっと来やがったか。……さっさと食えよ?時間なくなっちまうからな」

「はぁい。……あ、ウィンナー……」

じぃっとノブのお弁当を見ていると、ノブが一個ウィンナーをくれた。

「……卵焼きを一個贈呈してやろう!」

「馬鹿やろ、それがウィンナーをねだった奴の言う言葉か!」

ケラケラと笑いあう。

あー、おかしい。

ノブはいい奴だ。

変だけど。

「よっしゃ、はじめるか!」

お弁当を食べ終わって1段落ついた頃、ノブがボールを持ち出していった。

私も、立ってスカートの埃をパンパンと払う。ちなみに、ちゃんと運動できるように、スカートの下にスパッツを着用している。

「……はじめますか!んじゃ、私が先にオフェンスでいい?」

「おっしゃ」

「ガンガン行くよ~」

ふっと息を吐いてボールをもつ。

まずは手始めに右へボールを移動させる。基本的なピボットフットだ。左足を軸足にして、右へ左へボールを移動させる。

きゅっ……と静かな体育館にバッシュの音だけが響く。

「いっきま~す……」

宣言してから、左にフェイク。

おっ、とノブが動いたのを見て、私はすぐに右へドリブルをついた。

「……っと、そこでひっかかると思ったか?」

すぐにノブがついてくる。

私は、ぺろっと下唇をなめて強引に前へ進もうとした。

「いかせるかっ!」

ノブも食いついてくる。

ノブが私よりも先にコースを塞ごうと下がったのを見て、私はさっきまでの勢いが嘘のように足をとめた。

「あぁぁぁっ!」

ノブの叫びは聞かないでおいて。

昨日紳ちゃんに教えてもらったようなシュートフォームで、シュートを打った。

スパッときれいにボールはリングに吸い込まれた。

「へっへっへ~。やったねぇ!」

ガッツポーズでボールをとりに行く。

ノブがどかっと体育館に腰をおろした。

「あれ?一回で終わり~?」

ボールを拾って抱えると、ノブはこっちを見てた。

「?なに?どうしたの?」

「お前の今のシュートフォーム、牧さんそっくりだった」

「あぁ、そりゃそうだろうね。私紳ちゃんの真似してんだもん」

行ったとたん、ノブはぷいっと横を向く。

「なんだよ~」

やがて、ノブはがりがりと頭をかいたかと思うと、ぽつりと言葉を漏らした。

「……お前、牧さんが好きなのか?」

「はぁ?」

ついつい素っ頓狂な声を出してしまった。

だって、イキナリ変なこと聞いてくるから。

「だから、牧さんが好きなのか、って聞いてんだよ!」

誰もいない体育館に声が響く。

あまり聞かないノブの真剣な声音に、思わず身がすくんだ。

「……答えろよ……」

私は、暫く黙っていたけど、ノブが真剣だから、私も真剣に答えなきゃいけないと思った。

だから、正直に答えたんだ。

「うん。好き……だよ」

重い沈黙が私たちを包む。

先に口を開いたのはノブだった。

「告白、しねぇのか?」

私はうつむいてふるふると首を横に振った。

「……紳ちゃんは私のことを恋愛対象としては見てない。……どんなに頑張っても、私は紳ちゃんの『妹』以上にはなれない。……わかってるんだけどね、諦められないの。……今は、紳ちゃんが私のことを大切な妹、だと思ってくれてる……大切だって思ってくれてることだけで嬉しい」

自分で言っていて照れくさくなってきた。

へへ、と照れ隠しに笑ってみた。

すると、タイミングよく聞きなれた単語が遠くの方から聞こえてきた。

「牧くん!」

その声に、私とノブははっとしてそちらの方を向く。

思わず私は中庭が見える窓へ近づいていってしまう。

窓からは、中庭の真ん中の方に昨日のように、猫にえさをあげている紳ちゃんの姿が見えた。

そして、呼んだのはおそらく3年生の、美女。

なにやら言葉を交わしている。

最後に、美女が言った言葉。

それだけがなぜか聞こえた。他の言葉は遠くて聞こえなかったのに。

『私を、あなたの恋人にしてもらえない?』

どきん、と心臓が飛び跳ねた。

恋人―――

とてもとても大切な人になるってこと?

あの人が?

……私よりも?

『妹』よりも近くなるってコト?

紳ちゃんに?

―――やめて!

私は怒鳴りたくなった。

けど、怒鳴れなかった。

声すら出なかった。

紳ちゃんが断る理由はなにもない。

同姓の私から見ても、その人は美人で頭も良さそうだった。

きっと、紳ちゃんは断らないだろう。

「―――真奈美?」

ノブが呼び掛けてくれたのにも、気がつかなかった。

私は、体育館を飛び出した。





だだだっ、と階段を上って教室へ行く。

親友の言葉も耳に入らないまま、私は鞄をひっつかんで教室、そしてそのまま校舎を走って出た。

校舎から出た時。

またタイミングよく、その2人が私の目の前に現れてくれた。

こっちは泣くのを必死で我慢してるというのに。

2人仲良く現れてくれちゃって。

真奈美?どうしたんだ、まだ昼休みだろう?」

心配してくれる紳ちゃんの言葉が、今は重く心にのしかかってくる。

私は、うつむいて走った。

少しでもその2人から離れたかったから。

2人の事を、見れなかったから。

逃げ出した。





どこをどう走ったのかわからない。

どの電車に乗ったのかも覚えていない。

ただ、誰の目にも触れないところへ行きたかった。

誰もいない場所へ、行きたかった。

だから、気がついたら自分でもあまり来たことがないところにいた。

知らないところは怖かったけど……ちょっとだけ嬉しがってる自分がいた。

昼に学校を出たのに、もう真っ暗だ。冬は日が暮れるのが早い。

ましてや今日は―――。

「……今日、冬至じゃん……」

自分の声がやけに遠く感じる。

真っ暗な空を見上げると、小さな白いものが降りてきた。

「……あ」

雪だ。

そういえば天気予報で雪だとか言ってたっけ。

今年はホワイトクリスマスになるね、って……

紳ちゃんと……言ってた。

ぽろっ、てまた涙が出てきた。

昼間、学校を出てからずっと泣きっぱなしで、もう体中の水分がなくなったと思ったのに、なぜかまた涙が出てきた。

私の涙に、雪が溶けて、消えた。

「…………っ!」

遠くから私のことを呼ぶ声が聞こえた。

私がここにいることは、誰も知らないはずなのに。

空耳?

真奈美!」

今度ははっきり聞こえた。

だけど、声の主は紳ちゃんじゃない。

誰?

「……ノブ……」

人ごみから現れたのはノブだった。

息切れしているノブに、がしっと腕をつかまれた。

「……どこ、いってたんだよ……」

「……わかんない……気がついたら、ここに、いた……」

ノブは私の腕をつかんだまま、ケータイで誰かに電話した。

私はそれをボーっと見つめてた。

「……ったく、心配かけやがって……」

「……どうして、わかったの?」

「ん、あぁ……牧さんが部員全員に真奈美捜索命令出してさ、俺はたまたまここの地域担当だったわけ」

「……紳ちゃんが?」

「牧さん以外に、誰がこんなことするんだよ。ほら、もうすぐ牧さんくるから、大人しくしてろ」

紳ちゃんが、来る―――。

紳ちゃんがくれば、なぜこんなことをしたのか理由を聞かれるに違いない。

そして、私は中庭の事を話して―――。

紳ちゃんに振られる?

……いや、紳ちゃんから遠くなる?

襲ってくる恐怖感。

降りしきる雪の中、ノブの手を振り解いて、私はまた逃げ出した。





今度という今度こそ、どこを走ったのかわからない。

今、自分がどこにいるのかさえわからない。

もう、動転してて場所なんて全然気にしなかった。

ただ、疲れてた。

肉体的にも。

精神的にも。

だけど、休めるトコもわからなくて。

あてもなく歩きつづけることしか出来なかった。

いつのまにか、雪は強くなっていた。

もう。

このままこの雪に埋もれてしまおうか。

白い雪と共に溶けてしまおうか。

……それができたら、どんなにラクだろう。

―――紳ちゃんにとって、

私は所詮ただの『妹』。

恋愛対象外。

それでも、

紳ちゃんにとって特別なのが嬉しかった。

特別だったから、大切な『妹』でもよかった。

だけど、

今日でもう、それは終わり。

『妹』から『他人』へ変わる。

嫌われるから。

さようなら。

……さようなら、紳ちゃん。

私の大切な人。

「……真奈美!」

遠くで、声がした。

静かな雪の夜に、声は吸い込まれていったけれど。

私の耳には届いた。

欲しかった声。

聞きたかった声。

そして。

今は聞きたくない、声。

雪が微かに積もる中、私は振り向かずに、また走った。

ローファーだから、かなり滑るしなにより走りにくい。

だけど、走らなくては。

走って、走って。

いくつ角を曲がっただろう。

もう1つ角を曲がろうとしたところで、ずるっと滑った。

真っ白い絨毯が目の中に飛び込んできた。

「―――!……ふぅ……」

だけど、それは目に飛び込んできただけに過ぎなかった。

腕を、つかまれていたから。

温かい腕に。

振り向けなかった。

振り向く資格などないと思った。

けど、強引に顔を向けられて。

瞳をまっすぐ見据える事になった。

大きな手で顔をはさまれて。

まっすぐ瞳を見合った。

「……こんなに冷たくなるまでどこいってたんだ?心配するだろう?」

「……紳ちゃんが心配するのは、私が『妹』だから?」

ぽつり、と本音が漏れてしまった。

「私が、紳ちゃんの『妹』みたいな存在だから?私のこと、心配してくれるの?……だったら、そんな心配いらない。……いらないよ!!」

振り向いて逃げようとして。

腕を捕まれて。

抱きしめられた。

強く、苦しくなるほどに。

「……!離してっ!……同情なんか、同情なんか、いらない!!」

逃げ出そうとすればするほど、きつく抱きしめられて。

自分がみじめで涙が出てきた。

「離してよぅ……同情なんか、いらないもん……!!」

真奈美は、『妹』じゃないよ」

「!!『妹』じゃん!紳ちゃんは、妹じゃない子に、こんなことするの!?離してよ!」

「『妹』じゃない。……お前はちゃんと『女の子』だよ、真奈美」

更に、ぎゅっと抱きしめられる。

『女の子』?

「……それは、私が恋愛対象に入ってるって思っていいの?」

「当たり前だろう」

「だけど、だけどだけどだけど!!!」

「……昔からお前は頑固だな」

ふわっと暖かいものが唇に触れた。

雪が、溶ける。

「……『妹』に、こんなことする奴がいるか?」

「でも……!」

紳ちゃんは白い息を吐いた。

「言って聞かない奴には、身を持って知らせるしかない……か」

「は?……んっ」

先ほどの触れるキスとは違って。

今度は本当の『男』と『女』のキス。

「……これで……わかったか?俺にとって、お前は『妹』じゃないということ」

「…………」

ふっ、と軽く息を吐く。

「『妹』以上に大事なんだよ」

「…………ホントに?」

「ここで嘘をついてどうするんだ」

呆れて紳ちゃんが腕の力をゆるめた瞬間。

私はその場に崩れ落ちた。

真奈美……っ!?」

崩れ落ちる私を支えようとしたけど、少し遅かったみたいで、紳ちゃんも一緒に崩れ落ちた。

2人で雪まみれになる。

「あぁ、こんなに雪まみれになっちまって……」

「人のこと言えないよぅ……なんだよ、もう……私、1人で空回りしてて……馬鹿みたいじゃん……」

「馬鹿みたい、じゃなくて『馬鹿』だろう」

「んなっ……言い切らなくても……っ」

「……そんな馬鹿を抑えられるのは、俺しかいないと思ってる」

色黒の顔に赤味が差したように見えた。

目が、『お前はどうなんだ』と問い掛けてくる。

「……こんな怖い人、私以外に抑えられないと思ってる」

「……お前も言うな」

「だけど、それ以上に……大好きでたまんない……」

きゅっと首にしがみつく。

その倍以上の力で抱きしめ返された。

また、キスされた。

「……帰るか」

息も絶え絶えになるほど、長い時間キスしていたのに、紳ちゃんはいかにも余裕といった様子だった。

「……なんで、そんなヨユーなの……?」

「さぁ?……寒いだろ、ほら」

大きな手をポケットから出して。黒いマフラーを巻いてくれた。

並んで歩き出そうと前を向いたら。

隣にいたはずの紳ちゃんの顔が目の前にあった。

私たちは、雪の中。

もう一度唇を合わせた。





翌日―――

「げほっ……げほげほ……」

「コンコン……ッ……うぅ……」

私たちはそろって風邪をひいた。

けれど、いつもと違う私たちの雰囲気に。

神先輩やノブが昨日の晩なにがあったのか、聞き出そうとあれこれ考えたのはいうまでもない。

私と紳ちゃんは顔を見合わせて逃げ回った。

その中で私は密かに願った。

いつか―――

いつか、『妹』とは違う『大切な人』になる日が来るといいな―――。





あとがきもどきのキャラ対談



銀月「初!牧さんドリームです~!(パフパフ)」

 牧「・・・・・・」

銀月「いやぁ・・・牧さんだけは書くまいと思っていたのに・・・」

 牧「・・・・・・」

銀月「・・・・・・あの、怖いんでなにか喋ってくださいませんか・・・?」

 牧「・・・・・・他に言い残す事はないか?」

銀月「ぎくっ・・・あは、あはははっ!それじゃー、また!!(逃)」

 牧「っ!逃げるな、こら!」