シオンさんの所から帰ってきて、ご機嫌で部屋に入る。
すると、ベッドで不機嫌そ〜に寝転がってるバルレルがいた。

「あれ、バルレル。マグナたちは?」

「……ニンゲンたちは、祭りに行った」

「あー、お祭り!…………バルレルは行かなかったの?」

とたん、バルレルが枕を投げつけてくる(痛)

「待ってたんだよ!暗くなるまでフラフラほっつき歩いてる、どっかの誰かさんをな!」

「………………私と一緒に行きたかったの?」

「…………ッ……誰も、一緒に行ってやるヤツがいねェんじゃねェかと思ってよ!」

「まぁ、失礼な!…………確か、リューグとロッカがまだ部屋にい…………ぐぇ」

ぱ、パーカーひっぱるなあぁぁぁ!!!く、首が絞まるぅぅぅぅ!!
ジタバタもがいてると、バルレルは、ポイッと私を地面に投げ捨てた。
…………うぅ……痛い……………。

「オラッ!行くぞ!」

地面にへたり込んだままの私に、さりげな〜く手を差し出してくるバルレル。
私はくすっと笑って、バルレルの手を取った。

「なに笑ってんだよッ!」

………………殴られた。




「うわ〜〜〜。すーっごい人だねぇ……」

中央大通りは、右を見ても左を見ても斜め横を見ても後ろを見ても、人人人!!!ホンット、隙間なく人で埋めてみました!って言うくらい、人が多かった。

「いいね、いいねェ、この乱雑っぷりはキライじゃねェなァ!いろんな感情がごちゃまぜになってて、飽きねェぜ」

「んー……でも、ちょっと人多すぎじゃない?…………ん?…………あれって、もしかして…………」

私は、人に押されながら、通りの端にある屋台を見る。
!!!!!
クレープだ!!!

「バルレル!バルレル!クレープがあるぅ〜〜!!」

「あ?…………食いてェのか?」

「うん!買ってくる!」

「あ、オイ、待て!」

バルレルに腕をひっぱられて、立ち止まる。
早く食べたいのにぃぃぃ。
恨めしそうな顔でバルレルを振り返ったら、ゴイン、と頭を殴られた。
…………うぅ……今日、殴られてばっか……。

「テメェ、ひょこひょこ1人で行くな!はぐれたらどーすんだよ!」

「あ……そっか。はぐれたらこの人ごみだもん、探すの大変だよね…………ゴメンゴメン」

「あのなァ、俺が言いてェのはそーじゃなくて…………やっぱ、いい」

「え?何か言った?」

「……なんでもねェよ!オラ!買うんだろ!?…………オヤジ!そのクレープ2つくれ!」

「…………バルレル?」

バルレルが財布からお金を出して、2つ分のクレープ代を払ってくれた。
そして、ずいっとクレープを突き出してくる。

「………………………今日は特別だ!ありがたく思いやがれ!」

嬉しくなって笑ったら、バルレルはふん、と横を向いてしまった。