あたしは人より少し(?)背が高い

だいたい、男の子は目線が同じになってしまう

まぁ、コンプレックス、って言えばそうなるのかも

そんなあたしが、身長を気にせずにいられる相手を見つけた

でも、彼にも一応、理想というものがあるらしく・・・











taller than love












「よう、。」

「あ、牧くん。おはよう。」

「おはよ。相変わらずだな、毎日欠かさず練習してる。」

「牧くんこそ。」



彼はバスケ部キャプテンの牧紳一くん

そして、あたしのクラスメイトでもある

毎日牧くんとあたしは、女バスと男バスの朝練で一番乗りで学校に来る

体育館ではしばらくの間、2人だけの時間が続く

あたしはこの時間が凄く好き



「・・・ねぇ、牧くん。」

「ん?」

「・・・牧くんって、身長の低いコが好きなんだよね・・・?」

「あぁ、まぁな。」

「なんで?」



あたしは単刀直入に聞いた

牧くんは目を見開いて、ほくろの辺りをポリポリと掻いて、「まいったなぁ」という表情をしている

あたしはボールを床に置いて、牧くんの顔をジッと見た



「なんで・・・って・・・。・・・特に、理由はないけど・・・。」

「背の高いコじゃダメなの?」

「ダメって、そんなコトは・・・。」



牧くんは、あたしの沈んだ声音にちょっと戸惑ってるみたい

第一、なんでこんな話題をしてるかって言うと・・・

それは1週間前――
















あたしと牧くんは、今日と同じように朝練を2人でしていた

シュート練習をしていたあたしのボールが、リングにあたり、牧くんの方へ跳んで転がっていってしまった

あたしは急いで牧くんの側に駆け寄って、ボールを拾おうとした

ボールに気付いた牧くんが拾ってくれる



「あ、ありがとう。」

「いや。ほら。」



そう言ってボールを手渡される

自分の顔が凄く上気しているのがわかる

だって、今までこんな近くにいったコトなんてなかったから

あたしがボールを受け取った瞬間、牧くんから投げかけられたこの一言



・・・お前、背ぇ高いな。」

「え・・・。」

「いや、だいたいオレがかなり見下ろさないといけないんだが、お前は楽だな。」

「・・・牧くんは、背が低いコがいいの?」

「え?うーん・・・まぁ、高いよりは低い方が・・・。」

「もういい!」

「え、おい、?!」



あたしは、半分牧くんに怒鳴りつけるようなカンジで体育館を出て行った

牧くんはワケがわからないってカンジの顔だった

まただ・・・いっつもそう

みんな男は背の低いコばっかり好きになる

なんで?!

背が高いのの、何がダメなのよ?!

あたしはズカズカと更衣室へと歩いていった















とまぁ、こういうコトがあって・・・

今に至ってるんだけど・・・

牧くんは相変わらずあたしの顔を見て、困ってる

・・・困らせたいわけじゃなかったんだけどなぁ・・・

でもいいや!

ここまできたんだから、とことん困らせちゃえ!!

あたしは決心して牧くんの目の前に進んだ



「ダメ、じゃないんだよね?」

「え、あ、あぁ・・・。」

「だったら、あたしと付き合って!!」



言った

言っちゃった!!

牧くん口開いてるし・・・

なんか呆れた顔になってきてるし・・・

やっぱ、言うんじゃなかったかなぁ・・・

あたしは1度俯いてから、また牧くんの顔を見た

牧くんは、笑ってた

優しく・・・



「いいよ。」

「へ・・・?」

「付き合おう。」

「い、いいの?あたし、背ぇ高いよ?」

「それでも、オレよりは低いじゃないか。」

「だって、牧くん背の低いコがいいんじゃ・・・。」

「それは、オレより低ければいいってコトだが?」

「そうだったの?!」

「あぁ、まぁ、そんなヤツは滅多におらんがな。」



牧くんはそう言ってあたしの頬に触れた

大きな手・・・

この手なら、背の高いあたしのコトも、スッポリと包み込んでくれそうだな・・・ってあたしは心底思った



「もしかして、この前言ったコト、気にしていたのか?」

「そ、そりゃぁ・・・まぁ。」

「フッ・・・確かには背が高いが、逆にちょうどいい。」

「え?どうして?」

「・・・低すぎない方が、キスしやすいだろ?」

「なっ??!!ふっ――・・・・・・。」



突然牧くんの顔がアップになったかと思ったら、唇が重ねられた



「な?オレには、お前ぐらいがちょうどいい。」

「・・・ばか・・・。」



そしてもう1度、お互いに唇を求め合う

あたしに、ドラマのようなつま先立ちのキスは必要ない

憧れるけど・・・でもね、あたしの方が、牧くんにずっと近づける

深く深く、求め合える

そう思えば、背が高いのも、悪くないんじゃない?

ね・・・?





SILVER MOONの銀月様への捧げ物です。
背の高い女の子っていうのは実は初めてなんですよ!
あたしの身長が低い方なので、あんまり背の高いコは上手く表現できないというか・・・(汗
あたしから見たら背の高い方って憧れますね〜vvv
カッコイイじゃないですか?!
チビッコは服とか似合わないモノが多くって(泣
未知の世界でしたけど、頑張って書かせていただきました!
結構書いてておもしろかったんで、自分では満足しております(殴
感想はBBSでもMAILでもどちらでもどうぞ♪




瀬川様、ありがとうございます!すばらしい牧さんドリーム!
背が高い子という、無理難題をおしつけてしまったにもかかわらず……しかも、UPが遅れて申し訳ありません(汗)
最後の所では、「うひゃぁ〜」と身もだえしてました(怪しすぎる)
本当にありがとうございました!