PARTNER





ズダダダダダ……!

騒がしく階段を駆け上がっていく人影が2つ。

、急げっ!後10秒っ!」

藤真の怒鳴り声で、はひぃっと悲鳴をあげた。

「無遅刻無欠席無早退の輝かしい経歴がぁ〜〜〜!!」

「叫んでる暇あったら、走れ!」

「はい〜〜〜!!」

努力も空しく、無情にも鐘が響く。

「いやぁぁぁぁ〜〜〜!!」

「なり終わる前に教室入れ!」

ダンッと二段を飛び越してのぼり、最後の直線を走る。

ガラッと扉を乱暴に開けて。

と藤真健司、いますっ!!!」

が大声で叫ぶのと、鐘が鳴り終わるのは、ほぼ同時だった。





「……恥ずかしい奴」

「……うるさい……あそこでは言わなきゃいけない気がしたのよ」

ムスッと答えて、トントンと教科書をそろえる。それから、はっと気付く。

「……さて、藤真くん。ところでなぜ、私は今朝走っていたのでしょう?三択問題です。

1、 藤真健司くんが最後までシューティングしていて、私はそれに無理やりつき合わされていたから。
2、 藤真健司くんが私のナァイスパスのとりこになって、何10球も投げさせたから。
3、 っていうか、すべて藤真健司くんの所為?みたいな。

さぁ、どれでしょう?ちなみにおすすめは3番」

「……お前な……」

呆れ顔の藤真に、は妙なテンションで絡む。

「さぁ、さぁさぁさぁ!!!」

ふっ、と息をもらして、の頭をくしゃっと1撫でする。

「……アホらし……次、選択授業だろ。お前、移動じゃないのか?」

あ、と呟いてくしゃくしゃにされた髪の毛を、手櫛で整える。

「あ、そうだ」

藤真が呟いた言葉を聞き漏らさずに、は疑問を浮かべる。

「今度の日曜日、練習試合はいったんだ」

「……ふ〜ん……」

あまり、面白そうな顔はしない。

男子バスケットボール部があまりに強すぎて有名になったため、廃部をよぎなくされた女子バスケットボール部。

は、幼なじみのコネで男子バスケットボール『部員』として、練習に参加しているが、試合には当然のこと、出れない。練習試合も、先方がOKしてくれることなど、まずない。

なまじ実力があるために、面白くないわけだ。

試合で勝つために、練習はあるのだから。

「だから、予定空けておいてくれよ」

「……は〜い……」

「ちなみに、相手はお前が出るのも承知してくれたから」

「……ふ〜ん……どぇ!?ま、マジで!?」

にっ、と笑ってポン、と肩をたたく。

「マジで。……相手は、湘北だからな」

「湘北!?流川くんがいるところじゃん!やったー!」

ピクリ、と反応。

「……移動教室だろ、遅れるぞ」

微笑む笑顔の裏に、邪悪な影を見え隠れさせながら―――。
藤真は、打倒湘北(というか打倒流川)を誓った。





「……来た!来た来た来た!!待ちに待ったこの時が!」

ばばん、と仁王立ちになって叫ぶに、藤真が呆れたように手を頭にやる。

「……あぁ、わかったから……ほら、湘北のヤツらが見てるぞ」

「え……あ、流川くんだ!!」

バタバタと駆け出しそうになるの、首根っこを掴む藤真。

「なにするんだよ、健司〜〜!流川くんのとこ行かせろ〜!」

「あいつは、敵。敵だvv」

「…………………はい」

が押し黙ると同時に、運悪く(?)流川が寄ってくる。

「……オメーか、今日、一緒にやる女ってのは」

「うん、そうだよ。でっす!よろしく!」

「……流川楓だ」

「知ってるよ♪……って健司。わかった、わかったから。腕をものすごい力で掴まないで」

もぅ〜、といいながら、腕を必死に外そうとする

流川がふっと視線をずらすと、なにか自分をものすごい形相で睨んでいる、藤真に気付く。「……今日は、『俺の』と一緒にやるから、よろしく」

「……あんたも、こいつもガードだろ。一緒にコート、立てないんじゃねぇのか?」

流川の言葉に、ニヤ、と藤真は笑ってふふん、と腕を組んだ。

は、オールラウンダーだよ。今日は、『プレイヤー』としてきたから。と一緒に湘北(というかお前)を倒す」

「……ふー……男の独占欲は醜い……」

「ん?何か言ったか?」

バチバチと2人の間に火花が散る中で、戦いの火蓋は切って落とされた!





「はじめまして!です!今日は、一緒にプレイするのを許してくださって、ありがとうございます!」

ぺコリ、と一礼すると、安西監督がホッホッホッとの肩をたたく。

「いやいや、君はすばらしいプレイヤーだと聞いているからね。うちの選手にも良い刺激になるだろうし」

「ありがとうございます!」

「ほっほっほ。それじゃあ、はじめようかね」

ストンと、ベンチに安西監督がつくと。

わっと、その周りに湘北の選手が集まった。

「……本来なら、監督ってあのくらいの年なんだよね〜……」

?どうした?」

「……ん〜ん!だって、健司だって、ちゃんとした監督だもん!」

「ん?……なに言ってんだ、……とりあえず、今日の作戦を……」

「あ、そーだった……」

真剣にきくに、小さく笑う。

「……スターターは、怪我した伊藤の代わりに、。それ以外はいつも通りだ。相手はマンツーマン。結構びっちりついてくるから、スクリーンを上手く使え。赤木がいなくなったからって、油断するな」

「おう!」

「花形、桜木のリバウンドには、気をつけろ。それと、一志。最初から三井にプレッシャーかけて、疲労させてくれ」

「……わかった」

「……それと、

「ハイ!」

「……宮城は速いぞ。その分、外がないから、少し離れて抜かれないようにしろ」

「あいあいさー!」

「……オフェンスだが、高さではうちが勝ってる。最初は、中を攻めまくれ。赤木がいなくなったゴール下は以前より攻めやすいハズだ。外からも、どんどん入っていって、ひっかきまわせ」

「了解!」

「……よし!行ってこい!」

「「「「「おう!」」」」」

「試合をはじめまーす!」

彩子の声が体育館内に響いた。
てくてくと、を含めた翔陽と、流川、桜木と昨年の主力メンバーを多く残した湘北がコート内に入る。

「……湘北対翔陽の練習ゲームをはじめます!」

「「「「「しゃす!」」」」」

礼をし終わった後、すぐにサークルの周りでポジションをとる。
藤真の隣で、伊藤がポソリと呟いた。

「……先輩、こーしてみると、すっげー小さいですね……」

男(特に花形、桜木、流川)たちのそばに立っているは、普段見ているより、小さく見える。宮城も小さいが、それ以上には小さい。

「……大丈夫ですよね……」

の実力は知っているが、それでも、体格差というものがいやというほど見せ付けられる。
しかし、藤真は笑った。

「……まぁ、見てろって」

審判である彩子の手からボールが離れた。
ジャンパーは、花形と桜木。

「…………ふん!!!」

バコォッ、と盛大な音を立てて、桜木がボールをタップ……否、吹っ飛ばした。

「……ちぃっ……また、あいつは……!」

流川がダッシュ。ボールに追いつこうとした、その瞬間に、小さな影が目の前をよぎった。

「……流川くん、お先に!」

ボールを掴むと、右へ1つフェイク、左へドリブル。

「なろ……っ」

ドリブルカットを狙って、後ろから手を出すと、まるで見計らったように、ボールを右へとチェンジする。

「……へへ……透ッ!」

ハイポスト―――フリースローライン付近のこと―――にいる、花形へパスを出すと同時に、自分も花形の近くへ切れ込む。

パンッと手を叩くに、反射的に花形は手渡しパスをした。後は、面白いように決まる、ランニングシュート。

「あ――――!!!」

っと桜木が叫ぶ間に、ボールはゴールネットをすり抜けていった。
ポトン、と床に落ちるボール。

「………ほっほ……これは、面白い……」

安西監督が、呟いた。





試合は、一進一退の接戦だった。

花形がフェイダウェイ気味のシュートを決めれば、流川がミドルシュートで取り返す。
三井が3Pを打てば、が中へ切れ込む。
結局、前半は翔陽が2点リードで終わったのだった。

「……ふはっ……はー……試合したの久しぶりだから……体力、使うー……」

「前半は、上手く中を攻められていたからな、後半もこの調子でいくぞ」

「ん。……にしても、流川くんってば上手いなぁ〜……」

はた、とコートを見ると、スポーツドリンクを飲んでいる流川が。
疲れていることも忘れ、はダッシュ。

「流川くん!あのさ、ジャンプシュートのことなんだけど……」

話し掛けている。
流川といえば、珍しく人の言う事を聞いて、丁寧に教えている。
かと思えば、逆に流川がフェイクの仕方を教わっていたり―――。
ともかく、傍目にはとても仲良く……もとい、いちゃいちゃしているように見えるのである。

「………ふ、藤真……?」

「……ん?どうした、花形」

「い、いや……なんでもないっ!」

その時、花形には笑顔でいる藤真に雪女を見たというのは、また別の話。

「…………とりあえず、あのカップルの片割れをここに呼んできてくれ、作戦会議をはじめるから」

ニッコリと笑った藤真に、逆らえるはずもなく、花形はすごすごとを呼びにいった。
呼ばれるとすぐに、は帰ってきた。

「作戦会議ぃvv」

なんぞといって、微笑んでいるに、花形は『鈍感なやつ』と心の中で呟いたのだった。





後半が始まった。

藤真は、冷静な目つきでコートを見つめる。
後半は、湘北がボールを保持。
宮城が、ドリブルをつきながら、1本を宣言する。

「……花道!」

ハイポストにいる、桜木に宮城がループパスを出すと、先ほどのよろしく、切れ込む。着いていこうとしたは、壁となっていた桜木に、思いっきりぶつかり、跳ね飛ばされる。

「……てて……」

なんとか、倒れこむのだけはとどまっただが、その目には涙がたまっている。

「あぁっ!スイマセン!」

「あ、いーよいーよ、このくらい試合じゃ当然だもん!」

ニコと笑う、その頭をポカンと花形が叩いた。

「……馬鹿、藤真が睨んでるぞ」

「……げ」

「ふぅ……」

花形が溜め息をつくと、藤真が交替を宣言。高野と交替した。

「……ふ、藤真さ……」

、お前は今までどおり、宮城につけ。……俺が、流川につく」

「へ?」

つかつかと、流川に歩み寄る藤真。
そして、やっぱりニッコリと笑う。

「……覚悟しとけよ、流川」

冷たい火花が2人の間で行き交った。

「健司!」

パシッとからボールをうけとると、ふっと左へピボット。

(フェイクだろ、そりゃ―――)

案の定すぐに形をもどして、シュート体勢へ。
追って、流川が手を出すのと同時に、藤真は誰もいないローポスト―――ゴール下に近い台形の外付近―――にバウンドパス。
誰もいないと思ったところへ、突如としてが現れる。
大きな男達の間をかいくぐって現れたのだろうか。

「ナイスパスvv」

そのまま、ジャンプシュート。
パスッと気持ちのいい音をさせる。

「……うしっ!」

パチッと片手で交わす挨拶。
嬉しそうにはへへっ、と笑った。
そして、流川に向かって呟いた藤真の一言が本日の勝敗を決めることとなる。

「最高のコンビだからな、俺たちは」

バカップルに圧倒されて、湘北は力をすいとられたのか、この日のゲームは翔陽が勝ちをおさめることとなった。





「今日は、どうもありがとうございました!……とっても楽しかったです!」

「おぅ、ちゃん、また来いよ〜」

「オレらもすっごい楽しかったッス」

さん、あなたのプレイは……」

湘北のメンバーに、深々と頭を下げる。

「ほんっとーにありがとうございました!」

「……先輩、今度またフェイク教えてくださいッス」

「おぅっ!流川くん、私にまたシュートのコツ、お願いします!……って、わかった、わかったから、健司。襟を引っ張らないで……じゃ、そゆことで……」

半ば引きずられながら、は退場。
校門を出ても引きずられるような形だったため、がおそるおそる、挙手をする。

「……あの、藤真サン……みんなは……」

「帰ったよ」

「……で、これからどこに……」

の家に」

「……1人暮らしの女の子の家に……」

「行くに決まってるだろ」

「断定口調だし……」

「……あ、あの……」

「なんだ?」

「……参考までに聞くけど……なにをする……」

「お仕置きvv」

述べられた単語に、の顔が青くなった。
お、お仕置きといえば、この間風邪をひいてぶっ倒れて……。
その時は…………。

「いやぁぁぁぁぁ〜〜〜!帰らないぃぃぃぃぃ〜!」

「もう、遅いvv」

腕を引っ張って電車に乗り込んだ。





ガチャ、とドアを開けて入り込む。

「いやぁぁぁ〜〜!健司……ほら、汗臭いし、また今度にしよ?ね、ね?」

「……それじゃ、一緒に入るか」

勝ってしったる他人の家。バスルームに引っ張り込んで、制服のままシャワーを頭からかぶった。

「ちょっ……あ……制服がぁ〜……明日、学校なのにぃぃぃ〜……」

シャワーをとめ、肌にくっつくワイシャツをつまみあげると、つまみあげた手を引き寄せ、抱きしめられた。

「……健司?どーしたの……一体」

ピク、と動く、頬。

「……どーしたの、だと?」

声が、数段低くなっている。
なにか、聞いてはいけないことを聞いたのだろうか……。
の不安は的中する。

「……俺の目の前で、流川とイチャイチャイチャイチャイチャイチャ……」

「そ、そんなぁ〜……私、健司が好きだよ……流川くんも好きだけど

プチン。

ばちばちとワイシャツのボタンをひきちぎって、の胸元へ口付ける。

「ちょっ……健司ッ……!」

あまりの出来事に、抵抗するが、そのまま藤真の熱い唇は胸元へ―――手はスカートの下へ忍び込んでいた。
噛み付くように、首筋へキスをすると、左手でワイシャツを、右手で下着を取り払う。
藤真の唇が、胸の突起へたどり着いた時、ついにの口から熱い吐息がもれた。

「……んぁっ……」

その瞬間、藤真の手が止まる。

「…………?……健司?」

「……今日のお仕置きは……そうだな、これから先、……自分で進めてもらおうかな」

「……えぇっ?やだよ、そんなの!」

「じゃ、今日はしない。……あーぁ、1度感じちまった体は辛いだろうにな……」

「……うっ……」

熱くなった体を、は両腕で抱え込んだ。

「……やるのか?やらないのか?」

コク、とは唾を飲んで、答えた。

「……やる……」

涙のたまった瞳で、睨んだ。反対に、ニッと笑う藤真。
震える指で、藤真のワイシャツを脱がせる。
ボタンを1つ1つ外していくと、見た目からは想像できないほどの筋肉質な体が現れる。
どーすればいいのか、わからない状況に陥って、思わず藤真を見上げる。
最初はツーン、とすましていた藤真だが、の涙目にはかなわなかったらしく、トントン、と自分の胸を指で示した。

「……ここに、キスして」

言われるままに、壁に寄りかかっている藤真の上に乗って、言われた場所にキスをしていく。
何度かしていると、キスだけでは飽きてきた。
スッと舌でなぞると、頭の上で息を漏らす音が聞こえた。
だんだん面白くなってきて、胸から下腹部へ、と移動する。
制服のベルトを取りかけたとき。

その手をぐっとつかまれる。

「……やっぱ、こっから先は、俺がやる……」

そういって、深い口付けをしたあと、指をの中に滑り込ませた。

「ふぁっ……」

の体が跳ね上がって、シャワーのコックを捻った。

「何?俺のこと触ってるだけなのに、こんなに感じちゃった?」

水がふってくるのもかまわずに、藤真は愛撫を続け―――。
水がようやくお湯になった頃、の手をベルトにかけさせた。

「……な、なに……?」

すでに、意識をかき乱されいるは、半目で藤真を見た。

「……が、やって」

「……む、無理だよ……んぁっ……け、健司、や、指動かさないで……っ」

がやってくれないなら、今日は指だけでイカせてやらない」

「うっ……」

またも、命令に逆らえず、はベルトをゆっくりと外した。
存在感のある藤真のものを見て真っ赤になるが、意を決して、自分の中心にあてがった。
緊張して、息を吸い込んだ瞬間。
藤真がぐいっ、と腰を進めてきた。
なんの予期もしてなかったことに、の腰が引く。
その腰をぐいっと引き寄せて、さらにつながりを深くした。

「あ……ぁあっ……やっ……う、動かないで……っ……すれて……っ」

「今日は、違った体位でヤろうぜ」

藤真はタイルによりかかると、繋がったままのを、自分の膝の上に乗せた。
自分の体重で奥まで貫かれたは、軽くイく。

「……、まだ早い……ほら、自分で動けよ」

が無意識のうちに離れようと動くと、それだけでふれあい、んぁっ、と嬌声をあげた。それを避けようと、また動くと……。

「……んっ……ヤダ、もう……っ……はっ……ぁ……」

「……しょーがねぇな……ま、初めてにしてはよくやったほうかな……」

体位をすばやく入れ替えると、今度は藤真が上に乗った。

くん、と腰をひいて、一気に挿入。また腰を引いて―――を繰り返す。

「…………健司ッ……はっぁ……」

「……なんだ……っ?」

キスをして、の口を封じた後に聞く。

「…………私がっ……好きなのは……1番……っ……健司ッ!」

支離滅裂だが伝わった言葉が、の意識のとぎれる前、最後の言葉だった。





「…………お仕置きは、もうイヤ……」

「じゃ、お仕置きされないようにするんだな」

お風呂でのコトを終えて、意識を失ったが気がつくと、いつもの見慣れたベッドの上だった。

「…………だって…………」

「だってもなにもない……いいか、言っとくが、俺は嫉妬深いからな」

「……わかってるよぅ……」

のことを1番好きなのも俺だからな」

う、とつまってやっぱり赤くなる。

「……あ、ありがとう」

後はもう、勝手にやっててくれ、バカップル(笑)





あとがきもどきのキャラ対談



銀月「なんか……どんどん、エロ……っていうか、下品になってる気が……」

藤真「お前がか?」

銀月「ぐっ……」

藤真「ほぉ〜……文句も言えないのか、そうだよな」

銀月「う、うるさぁい〜!なんだよ、お風呂場Hさせてやったのに!こうなったら、今度の藤真小説はHなしにするからなぁ〜、覚えてろ〜〜〜!」

藤真「忘れるな、ばぁか。……、嫉妬深いんだからな、俺は。あんま、ヤキモチやかせんなよ」