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お菓子






バリバリ……

「…………」

ボリボリ……

「…………」

パリンパリン……

「…………おい」

パキン!

「なに?」

「…………お前、菓子食いすぎ」

男―――流川が見ている雑誌から目をあげて、お菓子(女の子達からの流川への差し入れ)を食い散らかしている真奈美を心持ち睨んだ←本気で睨みはしない。

「だって、おいしいんだもん!」

そういいつつ、スナック菓子をポイッと一粒口の中に入れる。

もう1コと手をのばしかけた袋を流川が素早く取り上げた。

「……いいかげんにしろ」

あ、あ、と少しの間手を中にさまよわせる。

「太ってもいいのか?」

「……別にいいもん」

「本当に?」

「う……………」

頭の中で『太る』と『お菓子』の2つが天秤にかけられる。

「うぅ…………」

それでも手は物欲しそうに宙をさまよう。

流川はいよいよ大きな溜め息をついた。

「…………お前、これから1週間菓子食うの禁止」

「えぇぇぇぇぇ~~~~~!!!」

真奈美のバックに悲しみの雨が降った(笑)

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、それはないよぉぉぉぉぉ~!」

「…………んじゃ、菓子没収しないかわりに、俺と話すの3日間禁止」

「えぇぇぇぇぇ~~~!」

更に吹雪が舞う。

頭の中に再度天秤が出現。

『彼氏』と『お菓子』

チックッタック、チックッタック……

「……そんなに悩む事か?」

黙り込んだ真奈美に、流川がキレぎみに問う。

自分にとったら、『彼女』と『菓子』。百歩譲って、ずっと食べていたいという菓子があったとしても、彼女をとるのだが。

「悩むよ~!お菓子だよ!?1週間食べないなんて考えられない!」

「どあほう。だから、太るんだ」

(というか、なぜ俺を選ばない)←嫉妬

「ひ、ひどっ!……もーいい!楓なんて知らないから~~~!!!」

『太る』

流川クン、女の子にとっての『太る』は『死ね』に等しい言葉ですよ?





「うえぇぇぇぇぇ~!」

教室に入ってきたとたん泣き出す真奈美。

その泣き声にクラスメイトがすぐさま寄ってきた。

真奈美?どうしたの?なにがあったの?途中で変なおじさんにでも会ったの?」

プルプル。

「どうしたんだよ、斎藤。先公にでもいびられたか?それともテストの悪さで親にでも怒られたのか?」

コ……プルプル。

「じゃあ、あれだ!バスケの試合で負けちゃったんだ!」

ブンブンブンッ。

「「「「「じゃあなんなんだよ?」」」」」

「楓に『太ってる』って言われた~!!!」

「「「「「ぬわぁにぃぃぃ~~?」」」」」

いや、真奈美さん……ちょっと違う。

『太ってる』じゃなくて、『太る』ね。

微妙な違いで反応は変わるよ?

「なにそれ!?『太ってる』ってどういうこと!?真奈美、太ってなんかないよ!?」

……ほ~らね……

「だって、楓が楓が~~~!」

ガラ。

当の本人が教室の中へ入ってくる。

真奈美の周りにいた人間がガッとそちらを向いた。

平然と自分の席に座って眠りの世界へ落ちようとする流川。

「「「「「ちょっと、流川(君)!!!!」」」」」

大人数の声に、流川が少し顔を上げる。

眠いので目つきが悪い。

しかし、そこは大人数。

束になれば、怖くない!!!

「「「「「ちょっと、女の子に『太ってる』ってどういうことよ!」」」」」

その声を発している女の子達をチラリと見て、それから涙目の真奈美を見た。

「…………別に『太る』って言っただけだ……」

「「「「はぁ?」」」」

「こいつが菓子ばっか食ってるから『太るぞ』って言った」

「違うじゃん!」

真奈美が、涙をボロボロこぼしながら、流川に食ってかかる。

「お菓子と楓選べとかいうからさぁ~……お菓子は私の命なのに!だけど、楓だって好きだもん!選べるわけないじゃん!!!」

「俺だったら迷わずお前を選ぶ」

「……え……?」

(((((なんだ、結局ただの痴話ゲンカか……騒いで損した……)))))

バラバラと人が散っていく。

散る間際に真奈美の親友の泉が流川と真奈美を外に放り出して言った。

「痴話ゲンカとラブシーンは他の人がいないところでねvv」

そして流川も廊下に放り出される。

恐るべし、クラスの団結力……。

「……屋上」

「行こうか……」

2人して気まずくなりながら屋上へと進む。

沈黙が堅苦しい。

最初に口を開いたのは真奈美だった。

「……ご、ごめんなさい……」

「……どあほう」

キィと流川が屋上のドアを開けた。

眩しさで目を閉じてしまう。

と。

唇に温かい感触。

次に口の中に何かが入り込む。

コロン、と歯に何かが当たった。

甘い、いちごの味。

「……やる」

流川がくれたのは、いちごの飴だった。

「……あり……がとう……」

最初はぎこちなく、だけどにっこり微笑むと、流川はふと真剣な顔をして真奈美を抱きしめた。

「な、なに……?」

「……菓子、俺と一緒に食うなら許す」

ぱぁぁっと真奈美の顔が輝いた。

「うん!一緒に食べようね!」





斎藤!……おい、クラス委員!斎藤と流川はどうした?」

「「「「「屋上でラブシーンで~~~す………」」」」」

That's Light!(その通り!)





あとがきもどきのキャラ対談



銀月「はっはっは~。久しブリブリの流川クンvv」

流川「…………」

銀月「ギャグだか何だかわかんないねvv」

流川「…………」

銀月「よーは、最近銀月が太りぎみ(ぎみ?)ってこと?」

流川「……いっぺん死んで来い」

銀月「バイバイキ―――ン!!!(スタッ)」