Lovery Prince!〜そして、決着が……ついてたまるかってんだ、馬鹿ヤロ――!〜






ぜー……ぜー……

私は、肩で大きく息をした。

もうすでに私の視界に2人の姿はない。

2人……と思ったところで、ボンッと顔から火が出た。

「ぴ、比乃も猿野も……恥ずかしい事口走ってたよ〜……っていうか、私、男ってことになってんのに……この学校、ホモ多い!?」

「いや……多くはないと思うッスけど……」

はた、と止まって後ろを見れば、同じく肩で息をしている、子津。

「うぎゃぁっ!!」

「わーっ!ちょっと待ってッス!!くん!」

がしっと力強い手で捕まれた。

背は高くないのに、筋肉があるから、すごい力。

思わず後ろに倒れそうになる。

「わわわっ、申し訳ないッス!」

「いや、だいじょぶ……んで、子津よ……お前、この学校ホモ多くないって言ったな?言ったよな。なら、なんでだっ!なんで俺に告白まがいのことを言うんだ!それほど、女に飢えているのか、お前らは!!」

必死の私に肩を捕まれて、子津はうろたえる。

「……飢えては、いないと思うッス……特に、牛尾キャプテンとか、虎鉄先輩とか……ただ!……みんな、くんだから、好きなんじゃないッスか……?」

「な、なんだそりは〜〜〜!!お、俺だからっ!?」

「そうッス。みんな……くんだから、好きなんッスよ」

クラクラする頭を抱えて、私は整理する。

「ちょっと、待て……お前、みんなって言ったな?……みんなって誰だよ!」

私が知ってるのは、比乃と猿野だけ……それに牛尾先輩の過剰な後輩愛だけだ!!

「みんな……って、みんなッス。このゲームに参加している人は、みんなくんのことが好きなんじゃないッスか?」

「どえぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!?」

今、明かされる衝撃の新事実ッ!

……なんて、ふざけてる場合では本当にない。

私は、今男であって、あいつらは男で……やっぱりそれは、外聞的によろしくないわけで……。

あ、でも、私は本当は女で……あー、でもやっぱり、今は男ってことだから……それでも、中身は女だから……。

「あ―――!頭がぐちゃぐちゃしてきた!!」

くしゃくしゃっ、と自分の髪の毛を弄ぶ。

おろおろしたままの子津を、きっと見上げる。

「それ、本当かッ!?嘘だったら、嘘って言ってくれ!今ならゲンコ一発で許す!

「ゲンコ一発なんッスか!?……って、嘘じゃないッス!……現に、その……」

「ん?」

「ぼ、僕も……その……くんが……」

おいおい、ちょっと待てよ……いやーな予感が……。

ひく、と頬が引きつる。

「僕も、くんが好きなんッス!!!」

「嘘だろぉぉぉぉぉぉ!?」

生まれてこの方、告白された事すらないってのに……。

1日に3人から告白されたよ!しかも!

男として!!!(泣)

「……わ、悪いッ!……俺、逃げるわっ!!!」

「あっ、くんっっっ!!!」

子津の言葉を聞いて、笑い泣きをしながら走る。

乾いた笑いと共に、言葉が溢れる。

「運命……っていうか、父さんの馬鹿ヤロ―――!」

原因は、あの親父だ―――!!!

ここで、男と一緒に男として温泉旅行行ったぜ☆、なんて言ったら、爆笑される。

大声で笑う。そーゆー父親だ、あいつは!

メラ、と心と目の両方の中で、炎が燃えた。

「ぜってぇ、捕まってやらねーからな、こんちくしょうっ!」

ゲーム終了まで、後6時間―――。

なにがなんでも、逃げ切ってやるっっっっ!!!





ボロッ……

そんな形容詞が似合うってのも嫌だけど。

今の自分にそれ以上似合う形容詞があるとも思えない。

「……に、逃げ切った……」

時刻はPM7:00を指そうとしている。

後5秒ほどだ。

と思っていたその時。

ブツッと嫌な音がした。

『あー、あー……どうやら、逃げ切ったみたいだな、 斎藤 。まー、ともかく、お疲れさん』

お、終わった―――!!!

やったよ、母さん!見たか、クソ親父!

『残念だな〜……誰が、姫と一緒に温泉かと思っていたのに……いやぁ、残念残念』

そーいや、旅行もあったんだっけ……

「ほんっと残念だよな〜……旅行行きたかった……」

『……だよなー。ってなことで、逃げ切った 斎藤 。お前にペア旅行をやろう』

「…………は?」

『は?じゃねぇよ。オメーにやるっていってんだよ。オラ、ありがたくうけとりやがれ』

や、やる?

ってことは、タダで、旅行GET!?

「いやっったぁぁぁ〜〜〜!頑張ったかいがあった!!!さようなら、泥臭い日々!こんにちは、爽やかな温泉ッ!」

『よろこんでくれて嬉しいんだが…… 斎藤 、1つだけ言っておく』

「はい?なんッスか?」

もう、放送だなんてことも気にしないで、私は監督と一対一の会話。

『必ず、『ペア』で旅行に行く事。これが条件だ。それで、旅行をお前にやる。OKだな』

「OKッス!ぺアッスね!?誰といこーかなぁ……」

『野球部限定な』

「野球部限定ッスね……って、ちょっと待て!」

『ん〜、なんだぁ?』

ニヤニヤ笑っている顔が思い浮かぶ。

「む、無理ッスよッ!」

『なんでだ?……お前、もしかして、野球部が嫌いって言うんじゃ……』

「んなわけねーでしょッ!……か、考えさせてください!!」

『期限は1年だからな〜……早めに決めろよ〜』

無理だよっ。

だって、私は女であいつらは男で……いや、私は今男だからさ〜、どーでもいーんけど……やっぱ、バレたらやってけないじゃん?

けど、温泉旅行はやっぱ行きたいわけで……。

どーしようかな……。

ふと、母さんが言ってた言葉を思い出した。



"真奈美、大切な人が出来たら、悩みはその人に打ち明けなさい"



……そーだなっ。

大切な奴が出来たら、そいつと一緒に温泉行けばいーやっ。

後、1年有効期限あるし!

母さん。

あんた、いい人だよっ。

なんで、あんな馬鹿親父と結婚したのさっ。

もったいねぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!





こうして。

初めての体育祭(バトロワ)は幕を閉じた。



……あせったくせに、最後あっけなかったしっっっっ!

私って、もしかして苦労性!?





言い訳



やっと、バトミス終わった〜〜〜。

最後、もう収集つかなくなったから、強制終了。

パニクってるのが、よくわかったと思いマス。

だから、情けないけど、強制終了。

最後、結局捕まらなかったですね〜。

けど、あれは伏線ってやつです。あ、なんか小説家っぽい?

短いので、もう一個話書きます。

見てくださったらうれしいなぁ。