Lovery prince!第5話〜どーしてこーゆー風になっちゃうのさ!?〜
や……
やってきてしまった……。
ムカツク程に爽やかな朝。
小鳥のさえずりが今は憎いよ……。
「……はぁ……とりあえず、弁当でも作るか……」
なんて言っていつものように弁当を作る自分がとてもエライと思う。
「……はぁ……」
口をついてでてくるのは溜め息ばかり。
ったく……
何が楽しくて、姫役なんてやれますかな!?
ってか、誰だよこんなゲーム考えたの。
……絶対羊谷のおっさん(つーか、銀月)だろ。
……いっぺん殺したろか……(ギク)
いつもより心持ち多めに作った弁当をきれいにナフキンで包んで、ヒップバッグに詰める。
持ち物……。
弁当があれば生きていけるよな。
昨日、私の家のポストに入っていた地図。
どうやら、私のスタート地点は学校から結構離れた場所らしい。
……面倒だな、本当に。
ポストに入っていたのは、地図だけで、例の『
姫役セット
』とか言うのは、今日その場で配られるらしい。
なんだよ、その『姫役セット』って……
何が入ってるんだろう……。
「あっ!やばい!時間!」
既に時刻は6:30。
私は急いでトーストをくわえて家を飛び出た。
ぜぇぜぇ……
な、なんとか5分前につけた……
誰かいないのかなぁ?
キョロキョロとあたりを見回す。
「あの……さん」
「わっ……凪ちゃんか……ビックリしたぁ……」
「驚かせてしまってすみません……あの、これ『姫役セット』です」
凪ちゃんが、大きめの紙袋をくれた。
中には……
「どうぇぇぇ!?」
セーラー服美少女戦士セー○ームー○。
月に代わって、お〜しおきよぉ!
……じゃなくって。
本当に正真正銘の
セーラー服
。
白いシャツに青い襟。それに赤いリボン。
下は……
「超ミニスカート!?なんだよこれ!凪ちゃん、これどーゆーことだよ!?」
「各部活のキャプテンがくじ引きで決めたものなんです……こういう、制服じゃない服を着ている人が姫だと全校生徒に通達してありますので……」
「だからって、なんでセーラー服!?」
「……それは……」
「それは!?」
「……監督の趣味です……」
……あんの……
クソエロ親父!!!
「あ、さん……あと2分ほどで時間です。早く着替えないと……」
「〜〜〜〜わかったよ!わかった!俺、セーラー服着るよ!」
「それでは、私は本部へ帰らせていただきます」
「……ん。じゃ、また会おうな」
「ハイ」
にっこり笑って凪ちゃんは去っていった。
さて……
着替えるといってもなぁ……公道の往来で着替えていいものか?
どうやら監督が言った事は本当らしくて、近隣の人たちは気配を感じさせない。
というか、どうもいないみたいだ。
どんな手を使ったんだろう。
だから、とりあえず、その場でバ―――ッ!と着替えた。
「う……わ……超ミニじゃん……」
スカートはものすごく短くて、階段でも上れば下から覗き見られるのは必至。
少し風が吹くだけでめくれそう。
キャプテンも難儀なものを当ててくれたなぁ……
まぁ、男物のトランクスはいてるから別にいいけど。
すると突然。
ビ―――――!!!
けたたましい音が町内に鳴り響いた。
「な、なんだぁ!?」
慌てて時計を見れば、針が指しているのは7:00
「うわわわわわわ!」
ヤバイヤバイ!
とりあえず、荷物を1つにまとめる。
と。
「姫発見!!!」
誰だか知らないけど、おそらく運動部であろう男子が角から現れた。
早いよ!どこにいたんだよ、バカ野郎!
おまけに手にはプラスチック製のバットなんか持ってる。
「えぇぇぇぇぇ!?」
「待ぁてぇぇぇぇ!!!」
うわっ、こいつ『豪華賞品』に目がくらんでる!
その『豪華賞品』はキスなんだってばぁ〜〜〜!
お前はそれがほしいのかぁ〜〜〜!!!
荷物をひっつかんで、走り出す。
「うわぁぁぁぁん!!!誰かぁぁぁぁぁ!!」
男の手が私の肩にかかった。
誰もいねぇなぁ〜……
始まったばかりだから、ちぃと歩いて探してみるか……
凪さん……どこにいるのかなぁ……
と。
「
えぇぇぇぇぇ!?
」
……の声だ!離れたところにいるらしく、声は小さい。
俺はその声を聞くや否や走り出した。
足が勝手に動き出したからだ。
「うわぁぁぁぁん!!!誰かぁぁぁぁぁ!!」
すぐ傍で声が聞こえた。
「!!!」
の肩にかかっている男の腕をハリセンで殴る。
ハリセンでも痛かったのか、男の手はから離れた。
「さ、猿野ぉ〜……」
の声。とりあえず、男と目線を合わせたままコク、と頷く。
今の俺、ちょっとカッコいい?
……なんて考えてる余裕はなかったらしい。
相手の武器はプラスチックバットらしく、それによる攻撃を繰り出してくる。
ハリセンでなんとかそれを防ぐ。
「……お前らなんか……」
男が不思議そうにこちらを見た。
……よし、勝った……(キラーン)
「
俺のボケにツッコミいれられないくせに
、えばるんじゃねぇぇぇぇ!!!」
ハリセン一撃。
あいつは吹っ飛んだ。
そのまますごすごと去っていく。
ホ、と息を吐く声が聞こえた。
だ。
「おい、……お前、しょっぱなから……って、えぇぇぇぇぇ!?」
目が、点になる。
……いや、そんな類の話ではない。
「……お前、女だったのか……?」
「違うわ!!何考えてやがる、クソザル!」
に殴られても正気にならない。
……あいつはセーラー服だった。
しかも、超ミニの。
それがやけに似合ってる。
「……どうしたんだ、それ……」
「『姫役セット』だよ……こーゆーカッコした奴が姫なんだと」
「そうか……」
やべ……鼻血でそう……。
「それで?そっちの情報は?」
「あ、あぁ……」
とりあえず、俺の知ってるかぎりの事を話す。
姫以外の奴には武器が支給されていること。
スタート地点には誰もいなかったこと。
そして、一時間に一回放送が流れる事。
「……放送って……マジでバトロワかよ……」
「かもな」
一通り話が終わっても、俺は未だにを凝視していた。
……可愛すぎる。
本当に。
「ちゃ〜〜〜〜ん!!!」
「な、何血迷ってやがる、猿!」
ゴッ……
俺はそこからの記憶が、ない。
でぇぇぇ!?
猿野を振り切ろうとしたら、猿野が倒れこんで来た。
何があったんだ!?
一瞬私が何かしたのかと思った。
ズル、とくずれ落ちそうな猿野を支えようとすると、猿野の後ろから、先ほどの男が顔を覗かせた。
目はランランと輝いている。手にはやっぱりプラスチック製のバット。
「う、うわぁぁぁぁ!!!!」
逃げようとするけど、猿野がのしかかってきて逃げようにも逃げれない。それほどまでに意識を失った人間っていうのは重い。
「姫……こんどこそ捕まえてやるぜ……」
ってことは、狙いは私!?
……私だけだよね!!
そう自分を元気付けて。
ごめん、猿野……
あんた、
置いてく
わ……
だって、私が狙われてるんだったら、
あんた、危害加えられなくてすむよね!?
猿野を地面に横たわらせて、鬼ダッシュ。
死に物狂いでアイツを振り切りました。
猿野、時間ができたら、見に行く!!
から、許してくれ!!!
私は自分の身が1番可愛い!!!!!!
君……どこにいるんッスかねぇ……
僕はトボトボと細い道を歩いていた。
支給された武器ははずれだったらしく、ティッシュの箱。
……一体何に使えるんッスかね……
パコパコと触ってみる。
……本当になんの変哲もないボール紙で出来たティッシュ箱。
……つ、使えないッス……
電池の切れた懐中電灯並に使えないッス……。
こんなんじゃ、君を守る事なんて出来ないッス……。
もう、これは……
他の人の武器を奪うしかないッスよね。
く〜ん……
どこにいるの〜?
僕、早く会いたいよぉ〜……
せっかくくんと一緒にゲームできるのに、一緒にいなきゃ意味がないじゃん〜……
羊のおじちゃんのバカ〜……
早くくんに会って、『比乃』って呼ばれたいよぉ〜……
僕の手には、フロッピーディスク。
……こんなの、武器としてどうやって使えって言うのさ〜……
くんに会っても、こんなんじゃ守れないよ……
そんな時、僕の目の前の路地を男の人が通り過ぎた。
手にはメガホン。
……あれの方がまだ役に立ちそう。固いし。
……あれ、もらっちゃおうかなぁ。
よし!
もらっちゃおう!
くん!
僕が武器をもらうまでもうちょっと頑張っててね!!
君……
一体君は今どこへいるんだい?
君の衣装がセーラー服だと聞いて、
僕は心底自分のクジ運に感謝したよ。
早く君に会いたいのに、君がどこにいるのかわからない。
君を守りたいのに……そばにいない僕を許しておくれ。
今、君が襲われていても僕にはなにもできない。
自分が歯がゆいよ。
でもそのかわり。
君を見つけたらもう離さない。
絶対に守り通してみせるよ。
だから……
早く君を見つけたい。
……
どこにいる也。
先刻から我の頭にはが襲われる場面ばかり浮かぶ……
我は助けたいのに、助けられない。
我がいれば、を全身全霊をかけて守る也……
だから、……
我と早く出会う也……
それまで
絶対に無事にいてくれ也……
銀月の言い訳
は〜い、やってきましたね〜。
今日は猿野、子津、兎丸、牛尾、蛇神で行ってみました。
次回は残りの十二支の方々(猪里、虎鉄、辰羅川、司馬、犬飼)を出したいと思います。
せっかく猿野に会ったのに……ねぇ。
次回は誰かと行動を共にできるのかなぁ。まだ考えてない……。
誰か一緒に行動してほしい人がいたら言ってくださいねvv考えてみます。