そんな彼女の悩み事情




「はぁ〜〜〜???ダイエットォ!?何考えてんの!?」

「声、でかいよ」

は、冷静にジューと、パックのお茶(ノンカロリー)を飲んだ。反対に、向かい側に座っているは、ばんっと机をたたいて激越した。

「何考えてんの!あんた、その体型でダイエットなんて、嫌味にしか聞こえないわよ!」

そう言って、じろーっとを見る。人より頭一つ高い身長に、ちょこん、とのった小さい顔。……スタイルは悪くない。
だが、見られたは、ぷっくりと頬を膨らませると、顔を赤くしていった。

「だってさー、冬休みってひどいよっ!年末年始だからって部活はないし、クリスマスパーティーとか、お正月のおせち料理とかで、ぶくぶく太るんだよ!?もー、体のキレが、悪くて悪くて。こんなんじゃ、部活に支障が出るし……それに……」

「それに?」

「……彰の親衛隊のお姉さま方に『デブ』って言われたんだぁい……」

「はぁ〜?あんた、なにいってんの?そんなの、苦し紛れの陰口に決まってるじゃない。馬鹿じゃないの?」

は、顔を真っ赤にさせるが、きっと前を向くと、に言う。

「とにかくっ!私は、ダイエットするから!そ・れ・と!絶対に、彰に言わないでね!……そんじゃマネージャー、よろしくっ!」

ぴゅーっとダッシュで逃げ去る。

「ちょっ!そうは言っても……〜〜〜!お弁当はどうするの〜〜?」

彼女はすでに教室の外。





「……うぅ〜……おなか減ったよ〜……お昼ご飯が、りんご一個って……お姉ちゃん〜。こんなんで、本当に体重減らせるの〜?」

ほとんど誰もこない中庭に座り込んだは、意地悪な姉の顔を思い出す。

が試そうとしているのは、いわゆる『りんごダイエット』というものである。食事は、りんごを一個だけ、というきわめて過酷(?)なものだ。毎日、バスケとお弁当のために学校へ来ているようなにとっては、それは、テストよりも辛かった。

「うぅ〜〜〜……足りないよぉ〜……」

すでに食べ終わっているりんご。
中庭には誰もいない。……から、お弁当なんてわけてもらえない。
もちろん購買のパンなんて売り切れ。
いつもは常備しているお菓子だって、ダイエットのためにすべてが押入れの中。今ごろ家出ごろごろしている母親のお腹に入っていることだろう。
くらくらと心なしか目眩がする。

「うぅ〜〜〜…………死ぬ〜〜〜」

ぱったりと、その場に倒れこむ。

「……ちゃん?」

聞きなれた声に、ぱっと振り向くと、そこにはバスケ部の副キャプテン、越野が立っていた。

「越野ぉ〜……」

「何?どうしたの、こんなとこで。仙道は?」

そういいつつ、さりげなく隣をGET。内心ウハウハの越野をよそに、ふにゃ〜とは力なく呟く。

「いない〜……越野〜おなか減ったよぉ〜……」

「はぁ?昼飯、食ってないの?」

「……ダイエット中……」

げっと越野はうめいた。

ちゃんが!?必要ないじゃん」

「必要あるの〜……親衛隊のお姉さま方が気に入らないらしくて」

「馬鹿じゃねぇの?そんなの、ちゃんに嫉妬してるだけだろ。……ほら、鮭のおにぎりやるから、食えよ」

ぶーっと、は腕の前でバツを作る。

「炭水化物は天敵〜……くそぅ〜……おなか減った〜……朝もりんご、昼もりんごだよ〜……」

「今時、りんごダイエット!?古いなぁ〜……」

越野の言葉に、はムッと言い返す。

「……姉貴に言ってくれ……」

そういって、ぱたっと後ろに倒れた。それと同時の予鈴。
越野は、ぱんぱんっと自分のズボンの汚れをはらうと、をよっと起こす。

「ま、しゃあねぇ、がんばれよ」

「おぅ……あ〜、おなか減ったよぉ〜……」

「……授業中、ぼやくなよ」

「は〜い……」

力尽きて、ぺちょっと越野に倒れこむ。越野は、しっかりしろよ〜、とを立たせた。

そんな仲睦まじい(?)二人の様子を、校舎の中から見る男……仙道彰。

彼はクスリと笑った。……えぇ、それはもう、どす黒いとしかいいようがない笑顔で。





そして、放課後―――

女子バスケ部と男子バスケ部が体育館で練習を始める。

「今日、とばしてるねぇ〜……あの子、大丈夫?あんま、体力あるほうじゃないでしょ……」

「そうだね……ほら、もうあんなに汗かいて……大丈夫かな」

チームメイトの心配をよそに、はなおもがんがんと飛ばしつづける。

(食べないで運動すれば、自然と体重は落ちるはず……)

コートをフルで走りつづける。

(……絶対に、認めさせてやる……)

はぁはぁ、と荒い息をしつつ、ディフェンスのために、ぐぐっと腰を落とす。足が、がたがたと震えた。

「……大丈夫かな?」

チームメイトがざわつきはじめる。
見ている側からでもわかるほどの、疲労。すでにの顔色は真っ青で、足元はおぼつかない。ついに、ふらっとの体が揺れた。

「ちょっ……、止めて!」

スコアをとっていたに向かって一直線に走る。

!大丈夫!?」

「ん……だいじょぶ……」

体を支えられ、顔を上げると、男バスの練習風景が目に入った。
なにかが自分に向かって、ものすごいスピードで来る。

(やば……なんかがくる……逃げなきゃ……)

そこで、ふっと目の前が真っ白になった。



トントントントン……

(……包丁の音が聞こえる……お母さん、私、作っても食べないってば……それよりりんご買っておいてよ)

グツグツ……

(……そんな音させても、食べないものは食べないって……)

フワァ〜……

(……いい匂い……食べるもんか!)

ジャッジャッ……

(……〜〜〜〜!)

ぱちっと目を開けると、叫ぶ。

「だから、食べないって!それよりりんごをくれ!」

「あ、起きた?」

目の前に、つんつんの波。……見慣れた顔だ。

「あり?彰?……りんごは?」

「は?りんご?」

視界がはっきりしてきて、ゆっくりと周りを見回す。
小型の冷蔵庫に四角い足の長いテーブル。……これは、彼のサイズに合わせたものだ。
今寝ている自分を見てみれば、かなりのサイズのベッド。……これも一般よりもかなりデカい仙道のサイズ。
つまり。

「……彰の部屋?」

「そのとーり」

「……なんで?普通保健室とかじゃ……」

「保健の先生いないし……オレの家の方が、いいと思ってね……ほら、食えよ」

目の前に出されたのは、なんともいい匂いを漂わせている、シーフードリゾット。小皿にはほうれん草のバター炒めがあり、さらに香ばしい香りを出している。
朝も昼もりんご一個というさびしい胃袋が悲鳴をあげる。

(……くっ……我慢我慢……)

しかし、どうしても目はリゾットにいってしまう。
仙道はニコニコとのことを見つめている。

(……食べたい……食べたいけど……でも……我慢我慢……)

ふっと目をリゾットから離す。

「い、いいや、彰。……私、そろそろ帰るし」

(食べたいよぉ〜……食べたいよぉ〜……)

言っている事と思っていることがすばらしく一致しないが、とにかく顔には出さないようにして、ベッドから降りる。

「あ、おい!」

立った瞬間に、目の前の仙道が揺れる。
あれ?と思ったときには、目の前に床が迫っていた。
立ち眩みだ。

(やばっ……)

倒れるのをどこかスローモーションに感じながらも、とっさに体が反応しない。
ぶつかるのを覚悟して、ぎゅっと目を瞑った。

…………しーん…………

いつまでたっても、衝撃がこない。
こんな自分を神様が哀れに思って、時間を止めてくれたのか、とはぼんやりと思った。
いつまでたっても動かない体だが、本当に衝撃がない。
目を開けたら、止まっていた時間が動き出しそうな恐怖を感じたが、とりあえず、ゆっくりと目を開けてみる。

大きな胸。

温かい腕。

「はら?」

上を向けば、まるで天に向かってのびているかのような、つんつんの髪の男。

「あれぇ?」

の素っ頓狂な声に、仙道はほっと息をついた。だが、次に彼には、珍しく顔をしかめた。

「馬鹿!そんな体で帰れるわけないだろ!」

「……ごめんなさい……」

普段見ない仙道の姿にちょっとおびえつつ、素直に謝る。……自分のために怒ってくれているとわかっているからだ。

「まったく……本当に馬鹿だよ……なんで、『デブ』の一言でダイエットなんてするかな?」

「げっ……なんで知って……」

思わず離れようとしたを更に深く抱きしめる。

「越野を締め上げた。ついでに、ちゃんからも言われた」

「うげ……」

仙道は、ふぅ、と息を吐く。そして、いつものあの『ニコ』という笑顔。

、心配しなくてもいいよ。オレが、食べても痩せられるダイエット法知ってるから」

は、思わず目を見開く。

「ほんとっ!?ほんとにっ!?」

「ほんとほんと。だから、安心して食べなサイ」

「やった―――!いつまでこんな拷問みたいなこと続ければいいのかと思ってたの!彰、ありがとっ!」

「いえいえvv」

仙道の目が、キラーン、と怪しく光った。





「はぁ〜。おいしかったvv彰、ほんと料理上手いよね〜……今度、レシピ教えて」

「うん、いーけど……けっこう、大変だよ?でも、オレの家来れば、いつでも食べさせてあげるし」

「ほんとっ!絶対また来よ〜!……で?ダイエット法って?」

キラキラと瞳を輝かせて詰め寄る。

「……まいったな……」

その言葉に、の顔が引きつる。

「あ〜き〜らぁ〜?まさか、嘘じゃないでしょうねぇ?」

「イヤ……そういうことじゃないんだけど……、今日なにか用事ある?」

頭の上いっぱいに、『?』を浮かせるが、は答える。

「?……別にないけど……」

「そ。明日は?」

「なんにもないけど?」

「よし。オッケィ。教えてあげよう」

「ほんとっ!?でも、なんの関係があんの?」

仙道は、深く溜め息をつく。

「あのさー……今日の用事と、明日のこと聞くってトコで、気づいて」

「へ?なにを?」

「……んじゃー、明日、腰痛くても平気?」

の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。

「……馬鹿っ!エロ親父!」

「いや、でも痩せられると思うけど?……激しいしねvv」

「馬鹿っ!」

「まぁまぁvv」

そういって、早くも服を脱がせてうなじにキスマークをつける。

「エロ親父〜〜〜!信じらんない!」

バタバタと抵抗はしてみるものの、ビクとも動かない。

「痩せらんなくてもいいの?」

「う……」

仙道は、ニコと笑うと、プチンと下着のホックを外した。

「早いよ!」

「まぁまぁ」

その口を封じるようにキスをすると、あっという間に服を全て剥ぎ取り、自らの服も取る。

の性感帯を全て把握している仙道は、その部分を的確についていった。

「んっ……あっ……」

まもなく、の口からは喘ぎ声が漏れてくる。

仙道は、更にの膨らみを揉みしだくと、その硬くなっている突起を口に含んだ。ピクリ、と体が反応する。

「やっ……やぁ……あぁん……あっあっ……!」

ペロリ、となめたかと思うと、カリッと甘噛をする。噛んだ瞬間、の体が面白いようにしなった。

そのまま舌は丁寧に脇腹、下腹部をたどり、秘所へと繋がる。

もうすでに濡れている秘所を、更に舌で攻め立てる。たちどころにあふれてきたものをすする。

「やぁ……キタナ……イよぉ……あぁ!」

丁度、一番敏感な部分に触れたのか、一際高い嬌声をあげた。反対に、仙道は冷静に答えた。

「どこが?……きれいだけど?」

舌を中に差し入れる。

は、恥ずかしいのか両腕を顔の目の前でクロスした。

「なんで隠すの?オレにみせてよ」

仙道はそっと腕を外すと、真っ赤になったが、潤んだ瞳で仙道を睨んだ。

「恥ずか……し……彰の……馬鹿ぁ!」

「ハイハイvv後でいっぱい聞いてあげるから。……まず、一本と……」

人差し指を差し入れる。
まだ少し狭いソコを広げるように、ゆっくりと円を描きながら出し入れする。

「ちょっ……あ、やぁっ、んんっ……馬鹿っ」

「ハイハイ。……二本目」

広げられたせいで、すんなりと人より大きめな中指を受け入れる。
二本がはいったところで、仙道は指を動かした。クチュクチュと淫靡な音があたりに響く。

「はぁんっ、あぁ、はぁっ……んんっ!」

「……いい?」

「ちょ、ちょ……待っ……やんっ!」

「……ちょっと、待つの、無理だわ……ごめんな」

そっと髪を一撫ですると、 サイズを増した自身を入れ込む。

は、その質量と性急さに目を白黒させた。

「痛っ……」

「あ、悪ィ……でも、ちょっと我慢してなvv」

ぐっと腰を入れたかとおもうと、ギリギリの所まで一気に引き抜く。その行為を何度か続ける。次第に、の腰のリズムもそれに合うようになってきた。
卑猥な肌のぶつかり合う音が、耳を刺激する。

「も、だめ……あぁっ……」

「いいよ……イッても」

はその言葉を聞くと、甘い声を出して、高みに上った。続いて、仙道も短いうめき声を上げながら、の最奥に全てを放った。





「…………」

「……チャン。その沈黙怖いんで……」

「…………」

「……スミマセン……」

「謝ってすめば、警察はいらないっ!」

「ごもっともです……でも、痩せられたんじゃない?」

「知らないっ!もう寝る!」

「えぇっ!そんなぁ〜。後三回はヤるつもりだった……いてっ」

「馬鹿ぁ〜!」

(こんなんで痩せられるわけないじゃん〜!また太るよ〜)





数日後……



「嘘……」

ピーンと体重計が指すその数値は。

冬休み前よりも一キログラム、減っていた。

「……嘘だぁぁぁ〜〜〜!」

幸か不幸か。

それ以来、太ってしまうと、仙道の家に行くの姿が、多数目撃されたという。





あとがきもどきのキャラ対談



仙道「なんかHシーンが多いね」

銀月「そーね」

仙道「……また、エロいんだから……」

銀月「悪かったね。そーゆーあんたもエロいでしょっ!前回の『エロとんがり』は、ものすごい反響(?)だったんだからね!」

仙道「あっ、ひどっ!……もーいい。、こんなの放っておいて、デートしよーぜ。デートvv」

銀月「あっ。ちょ、待て!」

仙道「。今度からは何かあったら、オレのトコに来るんだぞ?いーな?……さぁ、いこーか」

銀月「あぁ〜〜〜!……感想は、メールでお願いシマス」