彼氏の携帯のメモリーって誰でも気になるよね・・・
           
          〜携帯のメモリー〜

今日景吾の家に来ていた―――。
最近は部活帰りに景吾の家によることが多いのである。
家に帰っても、親は働き続けているので、景吾の家でお世話になっているのだ。

ある日―――
友達のと携帯のメモリーの話で盛り上がったことがあった。
は、テニス部の忍足と付き合っていた。
忍足も氷帝学園の中、他校でものすごいもてるから、
「女子のメモリー数がどれくらいあるんだろう・・・?」
とふざけて言い合っていたのである。

その言葉が頭をよぎった・・・。
景吾も氷帝学園中からとってもモテている。
忍足をしのぐほど―――
女子のメモリーなど、たくさん入っているのだろう・・・。
そのことを考えただけで胸の辺りがムカムカした。

「・・。・・・!」

突然後ろのほうから景吾の声がした。

「け・・・景吾!どうしたの?」

、大丈夫か?さっきから何回も呼んだのに気がつかなかったのかよ。アーン?」

「ぅ・・・ごめん・・・」

景吾は少し口元を緩めながらの髪の毛をくしゃっと触った。
気が済むまで撫でていたいらしく、の髪の毛はぐしゃぐしゃになっていた。
は黙って景吾のしていることを見ていた。
このときに景吾に口を挟むと、何を言われるのかわからないからである。

「・・・シャワー浴びてくる」

景吾は気が済んだらしく、自分の部屋にあるシャワールームへと向かった。
は景吾の後姿を眺めているだけだった。

は携帯に目がどうしても行ってしまった。
が変なことを言い出したからだ・・・などと、思いながら、どうしても中のメモリーを調べたかった。
人として、人の携帯を勝手に見ることはプライバシーの侵害だ。
だけど、は我慢することができなかった。

「ちょっとだけ・・・」

はそれだけ言うと、敬語がシャワールームから出てこないことを祈りながら景吾の携帯を開いた。
メモリーを調べていると、女の人の名前がたくさん出てきた。

「彩・・・咲・・・愛華・・・・」

なぜだかわからないけど、の目に涙が浮かんでいた。

!どうした?」

景吾がシャワールームから出てきたところだった。
まだ髪の毛は生乾きで、体から少し湯気が立ち上っていた。
涙を流しているに近づいて優しく頬に触れた。

「どうしたんだ?」

優しい声で聞いてきた。
はただ首を横に振ることしか、出来なかった。

「ゆっくりでいい・・・話してみろ」

はゆっくりと口を開いた。

「景吾・・・の・・・携・・・帯・・・」

「俺の携帯がどうした?」

「メ・・・・モリー・・・」

は声を震わせながら景吾に言った。
自分がなぜ涙を流しているのかわからずに―――。
景吾はなぜか納得したようにを自分のほうに抱き寄せた。
そのあとの頭は景吾の鍛えられた胸の中にすっぽり埋まっていた。

「景・・・吾・・?」

「あれは、ただの仕事関係の携帯だ」

「え・・・?」

が、俺の携帯を調べて、女の名前があったから嫉妬してくれたんだろ?」

「え?え・・・?」

は何がなんだかわかっていないようだった。
さっき調べた携帯は仕事用の携帯で・・・
だから女の人の名前があって・・・
その女の人たちは、仕事関係の知り合い・・・
ということは・・・
ただの知り合いみたいなもの・・・?
の顔が真っ赤に染まってきた。

「俺には、しかいらない・・・

  他の女なんていらない・・・だけ、だけいてくれたらいい・・・」




またまたかすみ様より頂いてしまいました……!
もう、最後のセリフで顔面緩み放題です。ニヤけすぎました(怪しい子)
思わず、景吾さ―――ん!!!と絶叫しそうに(え)
本当にありがとうございましたぁぁぁぁ!(平伏)