「聖なる悪魔像……指定ポケットカードじゃないみたいだね……う〜ん、残念!」

カードを見て、こっそりため息。
まぁ、最初から指定ポケットカード手に入れても、ゴンたちみたいに奪われるのがオチだと思うし。
そういう意味じゃ、よかったかもしれない。

「じゃ、このカード売って、当面のお金に変えようか◆」

「もったいないけど、そうするしかないよね……」

せっかく手に入れたけど、お金がないことには始まらない。
その足でカード屋さんへ向かって、『聖なる悪魔像』とおさらば。

指定ポケットカードではないものの、結構いいカードだったらしく、50000Jで売れた。
とりあえず、これでお金の心配はなくなったといってもいい。

そのお金で食料品など、必要最低限の物を買う。
全部カードだと、持ち運びが楽でいいね!

で、後は1週間ほどこの街で色々と懸賞を試してみた。

マラソン大会だったり、指相撲大会だったり……あぁ、スイカの種飛ばし大会ってのもあった(それには出なかったけど)
ま、とにかくヒソカと2人で、大会にたくさん出場した。結構修行にもなるんだ、これが。

その結果、指定ポケットではないながらも、色々なカードをGET。
まぁ、急いでお金に換える必要もないし、とりあえずフリーポケットに入れておいた。

、そろそろ移動する?」

「そうだね……マサドラの話も聞けたし。やっぱり、呪文カードは重要でしょ!」

「そうだね……うーん、じゃあ、今から出発

「へっ?」

言うが早いか、動くが早いか。
ヒソカはひゅんっと走り出してしまった。

「えっ、ちょ、ちょ、待ってよ〜!」

慌てて本を消して、ヒソカの後を追いかける。
ここからマサドラまでは、80km……まあ、半日あれば着くだろう。

でも確か……途中で山賊が出るんだよねー……どうするのかな。やっぱり、お金上げたほうがいいのかな。

色々考えながら、ヒソカの背中を追いかけて走る。
80kmかー……長いなー……途中でペガサスとか呼び出しちゃおうかなー……。ってか、思ったんだけどさー。

このゲームの中で、私の念能力って、すっごい不利だよね!?

どっちも本だよ!いくらブックは宙に浮くからって、念能力の方はそうは行かないし!閉じれないし!

うわー……私の能力って、使いづらいことこの上ないじゃん……!

ぼーっと走っていたら、ヒソカの背中が小さくなっていた。
ぎゃぁぁあぁ、置いていかれないように、さくさく走らなきゃ―――!!!

「……ん?」

なんか……いる?
一旦立ち止まって、あたりを確認する。
……気のせいかな。

もう1度ヒソカの背中を追いかけようとしたら、ふっと視界が暗くなった。
太陽が雲で翳ったかな、とちょっと上を見上げたら。



大きなお目目とコンニチハ。



お目目は1つ。



…………1つ目、巨人…………。

「!!!ギャ――――――!!!」

?」

ヒソカの声が少し遠くから聞こえる。

「ヒソッ、ヒソカ―――!巨人さんに出会っちゃった―――!」

叫んでみるけど、状況が変わるわけでもなく。
なんだっけなんだっけ!?
この人の弱点、なんだっけ!?

ブンッと振られた大きな腕を、左に避けてかわしながら思い出す。

1つ目巨人の弱点は……。

「目!」

ふっと上を見上げたけど。

「……って、届くかぁぁぁぁ!!!」

私のジャンプ力、確かに前より上がってるけど、あんなトコまで届くか!?
デカイんだよ、1つ目巨人〜〜〜!!!(巨人だから、当たり前)

、両足に念を溜めて、飛んでみて

いつの間に傍に来たのか、ヒソカが極々近くでアドバイスをくれた。

「両足!?っと、うわぁっ」

ドゴォンッ、と大きな音が鳴って、私がさっきまでいたところに、巨大な穴が。
……わぁ、落とし穴に最適……って、違うッ!

「両足、両足……ッ」

散々修行でやった、凝を、足に。
修行のおかげで、移行は格段に早くなった。
そのまま、飛び上がった。

グンッと変わる視界。
森の中にいたから、周りは木々ばかりだったのに、今はお空が広がっています。

「って、飛びすぎた―――!(汗)」

飛んだら落ちていく、という自然の理。
ひゅるるる、と森の中へ落ちていく私は、落下途中で1つ目巨人さんの目に、同じく凝で念を溜めたパンチをお見舞いしました。

ドカッと音が鳴って、ボンッと音を立てて消える巨人さん。

「……って着地―――!(汗)」

「……おっと

なんとかヒソカにキャッチされて、両足複雑骨折とかそういうオチは免れる。

「着地も、今度練習しようか◆」

「ぜ、ぜひともお願いします……!」

とにかく、抱きかかえられたままというのは、激しく恥ずかしいので、ゆっくり地面に降ろしてもらう。
それと同時に、ヒラヒラ落ちてくる1枚のカード。

「1つ目巨人さん、GET……!」

「まぁ、Hクラスだし、大丈夫だとは思ってたけど◆そろそろも実戦経験つまないといけないし……うん、やっぱりこのゲーム、ハンターのために作られてるだけあって、いい修行になりそうだ

「…………これ、順番にクリアしてけば、強くなれる?」

「うん?だから、頑張ろうね

「が、頑張るさー……!」

「じゃ、マサドラに向かうよ……マサドラで呪文カード買ったら、街付近で修行だからね◆」

「りょ、了解……こんなのが、いっぱい出てくるのね……」

「まぁ、どうしようもなく危ないときは、ボクが助けるから本当にどうしようもない時だけだけど◆」

つまりは自力で頑張れ、と言うことですね?

「…………修行、修行、人生修行よね……!」

「その通り

ニコリ、とヒソカが笑って。

「じゃ、行くよ

ものすごいスピードで走り出したので、慌てて私も追いかけた。
少し緩めてくれるスピード。

離されないように、ガシッとヒソカの手を握ったら、ニッコリ笑って、握り返してくれた。
そのままずっと2人で走り続ける。

今日の感想は。


…………マサドラ、遠いよ……!(泣)