今日は、月に一度の生徒総会日。

生徒会主催の、これまでの活動の報告などを兼ねた、全校で行う会議のようなものだ。

体育館に用意された椅子に、私たち生徒は座っているけど。
申し訳ない―――私は、ものすごい睡魔に襲われていた。
お弁当食べて、満腹感に満ち溢れている午後の会議。
話が多いし、朝練昼練で疲れている私たち野球部は、眠くなるのが、当たり前だと思う。
ただでさえ、男装なんかして、野球部にもぐりこんでる私みたいな、か弱い女の子(ここ強調)は、疲れてるんだから。
ごめん、ほんっと、眠い。

誰が、『腹の皮がつっぱったら、目の皮がたるむ』って言ったんだっけ……?

そんなことを頭の端っこで考えながら、ぼーっと一生懸命何かを話している生徒会の会計さんを見つめる。
その間にも、視界はドンドン狭くなっていく。
コクリ、コクリ、と頭が上下するのが自分でもわかった。

もう、こうなったら仕方がない。

睡魔を失くすためには、寝ることが1番だ。

私は、睡魔に白旗を上げて、眠りの世界に身をゆだねた―――。



クスクスクス…………。

笑い声が、聞こえた。
それも、1人じゃない。何人もの人が、笑っている。
なにか、そんなにおかしいことがあったのか、と少しだけ意識を覚醒した。

「お、片割れが目、覚めたみたいだぞ」

ん?と思いながら、私はゆっくりと目を開ける。
おぼつかない視界の中で、どうやらみんなの目が私に向かっていることだけは、確認できた。

「???……なにか、そんなにおかしい…………ん?」

頭に、なにか自分の頭以外の重さが加わってる気が…………そういえば、なんかいい頭の置き台があるな、と…………。
恐る恐る、目をそちらに向けた。

「&%#*+@$!?」

銀の髪の毛。色黒の肌。
隣には、犬飼冥―――同じ部活の同じ学年の人。
それが、私に寄りかかるように寝ていた。
そして、さっきの状況から察するに……私も、どうも冥に寄りかかっていたみたいだ。

「うっわぁあ!?」

慌てて私は冥から離れようとする。
だって、仮にも今は男の姿だし!男同士が顔くっつけあって寝てたら、見てる側も不快だろう!!

ピシリと姿勢を正そうとしたら、ぐいっと頭を引かれた。
先ほどと同じ体勢になる。
当然のように、頭にかかる重み。

「…………とりあえず、もーちょい寝かせろ……」

その言葉に、なにが面白いのか周りの女の子たちが騒ぎ始めた。