今日も訓練を終えた。
全身を覆う倦怠感。…………今日の訓練は、いつもよりちょびっと厳しくなっていた。

「お風呂……はいって、くる…………」

ヘロヘロ、全身汗だくの私とは対照的に、ヒソカは涼しげな顔でニッコリと笑った。

「いってらっしゃい?お風呂の中で寝ちゃわないようにね?」

着替えを持って、よろよろとお風呂場へ向かい、浴槽に腰掛けながら、服を脱いだ。
そして、とりあえずシャワーを出して髪の毛と身体を洗うと、浴槽に溜めておいたお湯の中に、半ば崩れ落ちるようにして入る。

最初のうちは、ぼんやりとお湯に浸かっているけれど、そのうちに、マッサージをしなければ、と思い当たった。
腕、足を、軽く揉み解す。凝り固まった筋肉を、押したり叩いたり。

ひとしきりマッサージを終えて、すぐにお湯から上がる。手早く服を着ると、髪の毛を拭きながら、バスルームを出た。

「お先出ました〜」

「じゃ、僕が行ってこよう◆」

入れ違いに、ヒソカが着替えを持ってバスルームへ歩いていく。
私は、さっきまでヒソカが座っていたソファに座った。
髪の毛を拭いていたが、段々と眠くなってきてしまう。

ダメだ……寝るならちゃんと、ベッドまで行かなきゃ……。

「…………ちゃんと、髪の毛乾かさないと、風邪引くよ?」

ヒソカがふわりと髪の毛に触った感触で、目が覚めた。
気がつけば、ヒソカはもうお風呂に入り終えて、髪のセットを解いていた。

自分だって髪の毛をろくに拭いていないのに、ヒソカは私の髪の毛にドライヤーを当てると、丁寧に乾かし始める。

「ひ、ヒソカいいよ……自分で、やるから………ふぁ〜……」

「欠伸しながら、言っても説得力ないよ……ほら、じっとして◆」

私は髪の毛を優しく触られる感触に、どうにもこうにも眠くなってきて…………。

「すー…………」

そこからは、記憶がない。



「…………寝ちゃったか

スースーと微かな寝息をたてて眠る少女。
カチリ、とドライヤーのスイッチを切って、乾かす際に乱れた髪の毛を簡単に整えてやる。
そして、軽々とその身体を抱き上げて、ベッドの上に横たえた。

「…………オヤスミ

サラリ、と乾いた髪の毛が額を滑っていった。