「おはよう」 当たり前のように、そう挨拶を交わすようになったのは、いつごろからだったっけ? とにかく最初のころは、家に帰ってくるのすら珍しかったバノッサだったからなぁ……朝に帰ってきてそれから寝るとか、普通だったし。 でも、いつのまにか―――そう、いつのまにか毎日が「おはよう」から始まるようになった。 朝が苦手なバノッサは、いつもいつも鬱陶しそうに目を開ける。 それでも、おはよう、という言葉には反応するんだ。 それは、頷きだったり、小さな「……はよ」という言葉だったり……はたまた、キスだったり。 時として反応はマチマチだけど、それでもちゃんと反応を返してくれる。 ホラ、今日も一日が始まる。 まず、朝ごはんを作って……子供たちを起こして、それから最後にバノッサを起こす。 今日は子供たちと一緒に起こしに行ってみようかな? 朝からテンションが高くて、お父さんが大好きな子供たちと一緒に、 「おはよう」 そう言ったら、どんな反応を返してくるのかな。 小さく微笑みながら「……はよ」? それとも、両腕を伸ばして抱き寄せて言うの? ねぇ、バノッサ? 自慢の旦那さん。 今日も、一日が始まるよ。 「…………おはよう、バノッサ」 |