「バノッサ〜〜〜!!!私の…………私の大事に取っておいたアイス食べたでしょ―――!!!」

バターン!!!と大きな音を立てて、バノッサの部屋に入る。
部屋の主は、暑さによりベッドで死体のように動かない。
ズカズカと入り込んで、バノッサに近づいた。
いつもは、部屋に入るなり、勝手に入るな、と怒鳴るか、待ち構えていて頭を叩くのだけれど、暑すぎて身体を動かす気力もないらしい。ただ、ちょっと顔を向けただけだ。

「…………………あ?…………あぁ、あれ、お前のだったのか」

「お前のだったのか……じゃなぁぁぁい!!!あぁぁぁ…………大事に取ってあったのにぃ…………私のアイス…………うぅ……」

「…………いいだろ、アイスの1つや2つ」

「ぜんっぜんよくない!!っていうかね、1つや2つとかいいながら、バノッサ、今までだって私のゼリーとか、果物とか、お菓子とか、こっちが我慢して取っておいてる食べ物食べたことあるでしょ―――!!!もう、今度という今度は許さない!バノッサ、買いに行って……」

「うるせぇ」

そう一言言うと、バノッサは私の手を軽く引いた。
動かないと思っていたバノッサの行動に、私は簡単にバノッサの方へ倒れこむ。

そして、重ねられる、唇。

「〜〜〜〜〜!!!……っは……誤魔化されないんだからね!?」

「………………チッ…………暑い……離れろ」

「あんたが引き込んだんだろー!!!ってか、離れろって言ってるんだから、この腰に回ってる手を離せ―――!!!」

私にそういわれて、初めてバノッサは自分の手が私の腰に回っていたことに気づいたらしい。
私は、躍起になってバノッサの手を外そうとする。
が。

グググググググ…………。

「な、なぁんで手が外れないの……かなぁ?……バノッサさん?」

「さぁ?…………ものはついでだ。まぁ、ゆっくりしてけよ」

「って、なんで…………わぁぁぁああ!!!」

…………なんか、上手く誤魔化された気がするのは、私の気のせいだけじゃないはず!!