テニスの王子様   〜跡部景吾〜




「大丈夫」


「大丈夫だよ、景吾」

そう言って、よくお前は笑うよな。

辛いときにも、
苦しいときにも、
絶対にお前は『大丈夫』―――そう言って、笑う。

お前は強いと思う。
そして、優しいとも思う。

だが―――。

偶には弱音吐いたっていい。
大声で泣いて、『助けて』って言っていいんだ。

「大丈夫」

辛いときにそう言い聞かせて、大丈夫な『フリ』をするの、止めろよ。
迷惑かけたっていい。
心配くらい、させてくれ。

「だいじょーぶだよ、景吾!」

お前の『大丈夫』は、諸刃の剣だ。

「大丈夫」

努力でなんとかなるレベルの時だけでなく、本当に辛い時だって、そう言うんだ。

…………どうしようもないときは、絶対に俺が助けてやる。
お前が泣くときは、絶対に俺が助けてやるから。

辛いときは、『大丈夫じゃない』って素直に言ってくれ。
我慢する必要なんて、どこにもねぇ。

そうしたら、俺が。

「……俺がなんとかする。大丈夫だ、安心しろ」

そう言ってやるから。

――――――大丈夫、俺がついてるぜ。



跡部景吾  「大丈夫」