乗っていればいつかは着く。 はこのまま乗っていることにした。 いつの間にかこのゆったりとしたペースに眠気が誘う。 うつらうつらとし始めたころだった。 トントン、と肩を叩かれて、意識が覚醒する。 「ちゃん?」 座っているの横に立っていたのは、神宗一郎だった。 「神さん!!同じバスに乗ってたんですか?気がつかなかった」 「あはは、僕もだよ。人数少ないのにね」 「なにかの帰りですか?」 「うん、模試の帰り。まったく嫌になっちゃうよね……模試なんて」 だが、そんな神は模試でもかなり好成績を維持しているのを知っている。 「……知ってますよ、神さんが成績いいの。学校じゃ、トップ10に入るみたいじゃないですか」 「誰が言ったの、そんなこと」 「噂で流れてくるんです。マネージャーの情報交換をなめちゃいけませんよ」 ちっちっち、と指を振る。そして、神が立ったままなのに気づいた。 「あ!!すみません、気づかなくて……後ろ移動しますか?」 「そうだね。そうしようか」 幸いバスは動いていない。たって一番後ろの席に移動した。 この中途半端な時間に駅に向かう人は、5,6人しかいない。 「ちゃんは?どっかの帰り?」 「いえ。私は晴子の家に向かってるんです。ボールを取りに」 「ボール?」 「発注してたのが届いたみたいで。すぐ行くって行ったんですけど、この渋滞じゃ、すぐじゃないですよね」 たはは、と笑ってケータイで時間を確かめる。 「でも、僕はちゃんに会えたから、渋滞に感謝……かな」 意味深な笑顔で言ってくる神。 狭いバスの中でそんなことを言われたら恥ずかしくなってしまう。 「じ、神さん!!」 くすくす、と笑う神は、本当に楽しそうで。 「メアド、良かったら教えてくれない?ちゃんとメールするの、楽しそう」 「え!?かまいませんけど……楽しそうって何ですか?」 (1人でつっこみとかしてそう) 心の中で神はつぶやく。しかし顔には表れていたらしい。 「なに笑ってるんですか?はい、これです」 「ううん。別に?……あ、ありがとう」 ニコニコと笑いながらケータイをいじくる。 すぐにのケータイにメールが来た。 『これから、メール送っていい?』 すぐそばにいるんだから、口で言えばいいのに。 内心ではそう思いながらも、メールを打つ。 『もちろんです(^^)学校でとか送りますよ〜』 2人で顔を見合わせて笑いあった。 Happy Happy New Year!! 神エンディング |