ちょっとなごり惜しいが、指輪から離れることにした。

立ち止まっていたので、体が冷えてしまっていた。

コートを着ているにもかかわらず、風が通り抜けていく。

体を知らず知らず縮こまらせて、歩きはじめた。

ドンッ!!

すぐに、誰かに正面衝突した。背中を丸めて歩いていたものだから、前が良く見えていなかったらしい。

「すみません!」

「いや、こちらこそ」

(ん?聞いた事ある声)

「あれ、ちゃん」

顔を上げると、そこには翔陽の藤真健司が笑いかけていた。

「あ、藤真さん!あけましておめでとうございます!」

「うん、あけましておめでとう。どうした?ずっとガラスに張り付いてただろ?」

(見られてたのか……)

今更ながら、少し恥ずかしくなる。

「……いや、あの……指輪可愛いなって……」

「指輪?……あぁ、これか」

「あんまりかわいいから、思わず張り付いちゃったんですよ」

「……ちゃんらしいな。……ちょっと、店の中入ってみるか」

「えぇぇ!?そんな!!」

「いいからいいから」

半ば強引に誘われて店の中に入る。

店内は暖かくて、少しホッとした。

少し見回る。先ほど見たような可愛い指輪やネックレスが並んでいた。

「……へぇ、すごいもんだな」

隣で藤真が感心したようにつぶやく。

「普段、バスケしかやってないもんだから、あんまりこんなとこ入んないんだよな」

「私もですよ。マネなんてやってると、休みなんてないも同然ですからね。今日は久しぶりにゆっくりした休みですvv」

「俺も久しぶりにゆっくりした休みだったな。……それ、気に入った?ずっとそれ見てる」

言われて、はっとする。

確かに視線が一定のところで止まっている。

四葉のクローバーがワンポイントの、シルバーの指輪だ。

「あ、可愛いなぁって……」

「……それ、買ってやるよ」

「へ?ななな、なに言ってんですか、藤真さん!」

「いいからいいから。……その代わり、俺と付き合って」

「…………はぁ?」

「俺と付き合ってくれる?」

「!!!」

視線を合わすように覗き込まれる。

他校の生徒にまでそのかっこよさが伝わる藤真だ、アップで見てクラクラしないわけがない。

「わわわ、藤真さん!ちょっと離れてください〜!」

「俺の彼女になる?」

「わわわ〜!!!」

「なる?」

「なります!なります!!!ならせてください!」

「ホントだね?」

ぱっと体が離される。

はホッと息を吐いてから、自分の言った発言の重大さに気づいた。

「あ〜〜〜!!」

「よっしゃ、これから毎日メールしてやる」

「そ、そんな、藤真さん!私、そりゃ藤真さんのこと好きですけど、彼女なんて……この辺の女子高生に闇討ちにあいます!」

「……へ〜、俺のこと好きなんだ」

「好きですよ、そりゃ!!…………って、何言わせるんですか!」

が自分で言ってんだろ?」

「自分でって……え??」

「彼女なんだから、呼び捨てでいいだろ?……俺のことは、健司、な?」

「そんなぁ〜……(嬉しいけどさ)」





Happy Happy New Year!!

藤真エンディング