やっぱり人違いみたい。

そう思ってまた振り返って指輪を眺めた。

しばらくして、トントン、と肩をたたかれた。

「?」

振り向いた瞬間、頬にめり込む指の感触。こんな古典的な攻撃をするのは……

「やぁ、偶然だね、ちゃん」

「……やっぱ仙道さんか」

「なんだよ、それ〜。俺じゃないほうが良かった?」

「そんなことないです!」

「そりゃ良かった。とりあえず、あけましておめでとう」

「あ、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ。……でえ?なにしてるの?1人で」

そう問われてはつまってしまった。

(う〜ん……遊びに?……いやいや、なんか違うな。散歩……でもないしな……)

「お〜い?ちゃん?そんな悩まないでよ」

「うぁ!すみません!……って、仙道さんこそなにやってるんですか?」

「俺?俺はバッシュ買いに来たの。……ねぇ、ちゃん、暇だったらちょっと付き合わない?」

「いいですよ〜」

「んじゃ、喫茶店でも入ろう。奢るよ」

「そんな!いいですよ!」

「いやいや。……あ、ここ入ろう」

そういって小さい喫茶店に入る。

「……あ〜、あったかいなぁ……」

「仙道さん、親父っぽいですよ」

「あっ、ヒドッ。……俺、アメリカンにしよっと」

「私は……んーと、紅茶にしよ」

メニューを見て、とにかく体が温まりそうな紅茶を選んだ。

仙道と対面すると、どうしても目の行き場がツンツンの頭へと行ってしまう。

惚れ惚れするくらいの垂直さに、思わずマジマジと見てしまった。

「……ちゃん、そんなにこの髪気になる?」

「……ハイ」

「触ってみる?」

「えっ……いいんですか?」

「どーぞどーぞ」

恐る恐る触ってみると、以外にもやわらかい感触がした。

しばらくすると、恥ずかしさがこみ上げてきて、ぱっと手を引っ込めた。

「……ありがとうございました」

「どういたしまして。……じゃ、今度は俺のお願い聞いてくれる?」

「はい?……髪の毛なら触ってもかまいませんけど?」

「いや〜……なんていうか…………俺さ、ちゃんのこと、好きなんだけど、付き合ってくれない?」

時間が一瞬止まったかのように思える。

変わらない仙道の、ニコニコとした笑顔。

「…………………………は?」

ようやく出てきた言葉がそれだった。

「だから、付き合って」

「なんですか!それ!!いきなり話が飛びすぎです!!!」

「いや、そうなんだけどさ、今くらいしか言うチャンスないし。…………好きです。付き合ってください」

再度言われた言葉に、真っ赤に顔が染まる。

「俺のこと嫌い?」

「……なわけないじゃないですか!!」

「じゃ好き?」

「…………デス」

「聞こえないよ〜?」

「好きです!!もぅ!!」

「やった!……んじゃ、これからは『彰』って呼んでね?」

「う、努力します。今年中には……」

「今年って後12ヵ月もあるじゃん!今週中!」

「今週って後何日もないじゃないですか!無理です!」

真っ赤になったの顔を、仙道は愛しそうに見る。

「……そんな見ないでください、恥ずかしいですよ」

「はいはい。……じゃ、これからよろしく」

「……よろしくお願いします」







Happy Happy New Year!!

仙道エンディング