「宏明〜っ!」

っ!」

………金曜日の朝、彼のイライラは頂点に達しようとしていた。

「宏明っ!明日映画行こvv」

、駅前にできた店に、食いにいかね?」

雑誌やら何やらを広げて至近距離で顔をくっつけて見ている。

「……あのさー、と越野……俺の存在無視しないでくれない?」

「そんなぁ〜……あ、今日私彰の家泊まるんだけど、越野遊びに来る?」

「―――なんて野暮な事はしないよなぁ?越野」

あくまでにこやかに―――そして、言葉の端々に怒りをあらわにして、仙道彰はギリギリと越野の背中をつねった。





悪魔な笑顔に要注意!






IN AKIRA'S HOUSE―――

「宏明ってば、ほんと可愛いよね〜vv」

私は、にこにことコーヒーを入れつつ、隣にいる彰に話かける。

「ふ〜ん……」

返ってきたそっけない返事に、ギクリと身をこわばらせてそろりと盗み見れば、『不機嫌』の三文字がはってある顔。

「……彰、まだ怒ってるの?」

「別に?彼氏を放っておいて、ただの友達と至近距離で話してたことなんて、全然気にしてないけど?(ニッコリ)」

そのデビルスマイルが怖いんです、仙道サン。
ちょっと怖かったけど、私は負けないようにと頑張ってみた。

「……そんなに怒ったら、牧さんみたいに眉間に皺が出来ちゃうよ?」

「別に?怒っても眉間に皺なんて寄せないし?友達と話す制限まで俺はしないし?」

撃沈。

「……越野のどこがいいの?」

さりげない(?)問いに、私は思わず拳を握り締めて答えた。

「だって、だって可愛いじゃんっ!」

「だから、どこが?」

む、と一瞬考える。
出てきた答えは……

「……タレントの○○○○に似てる!!!」

「どこが。第一、俺の方がかっこいい」

その自信はどこから来るんですか、仙道サン。

「だ〜か〜ら〜っ!かっこいいんじゃなくって、可愛いのっ!……っはぁ〜……わかんないよなぁ〜……男同士じゃ……」

「わかりたくもないよ……」

彰は、新聞を片手にコーヒーをすすった。テレビ欄のところで、目が止まり、私を一瞬見ると次に時計を見て言った。

、ドラマ始まるけど、テレビつける?」

はっと時計を見れば、すでに時刻は9時を回っていた。

「つける、つける〜っ!……あ、このドラマに宏明に似てる、○○○○出るんだよ〜っ!」

「ふ〜ん……つけるのやめようか」

一度手にとったリモコンを、元の位置に戻そうと手をのばす。その手を慌てて私は制した。この回は見逃してはならない!

「ヤダヤダヤダ〜ッ!彰ぁ〜!ね、一緒に見よ?宏明に本当に似てるんだってっ!」

彰は、笑顔で胡座をかいている自分の足を叩く。

「……まさか……」

にっこりと、デビルスマイルを発動させた。

「座るだろ?

リモコンは彰の手の中。
見たいなら座れ、というオーラがありありと伝わってくる。
私に、選択の余地はない。

「……座らせていただきます……」

私は、大人しく(ついでにしぶしぶ)仙道の膝の上に腰を降ろした。





『××くん……』

『あぁ、△△さん……』

ひしと抱きしめあう2人。そして、夕焼けをバックにBGM。
男の方は、私が越野に似ていると言っていた、○○○○だ。
ボソッと後ろで彰がつぶやく。

「……似てないよ……」

「えぇ〜っ!?似てるよぉ〜っ!目とか、鼻筋とかっ!」

「そう?」

彰は曖昧な返事をして、さらさらと私の髪の毛を弄ぶ。

「……でも、とりあえず……この女優よりの方が可愛い……」

「それはどーも……」

『TO BE CONTENED』

という字がブラックアウトした画面に映し出された。

「……うそっ!こんなところで終わりっ!?いやぁ〜!!続きが気になる!」

思わず彰の腕の中から身を乗り出してテレビ画面を見つめた。

「……、痛いって……」

「あ、ごめんごめん……で、彰」

「ん?」

再び座りなおした私の髪の毛を指に絡める。……好きなんだよね、髪の毛で遊ぶの。

「似てたでしょ?宏明と!」

ぴたっとその動きが止まった。

「だから、似てないって……」

「似てる似てる似てる!ずぇ〜ったい似てる!」

「似てないって……、電話鳴ってる」

バッグの中から着信メロディが聞こえる。

「もぅ〜……!絶対似てるってば……!……はい、もしもし!」

妙に力のこもった声で電話に出てしまった。
けど、私の顔はすぐにへにゃっとくずれた。

「宏明!?」

ピク、と彰が反応したような気がするけど、無視無視。

「……うん。うん……えっ!?本当に!?チケット取れたの!?ヤッターッ!いつ行く?」

「うん……そうだねぇ〜……ん?」

不意に暗くなって、私は後ろを振り向いた。
サー……と血の気が引いていく音がするのが自分でもわかった。

?』

受話器から越野の声が聞こえた。
彰は、私の手からサッと電話を奪う。
そして、いつものデビルスマイルで―――

「消えろvv」

そう言ったのでした―――。





プツッと電話が切られてから、約1分。私はハッと我に返った。

「……あ、彰っ!何すんの!」

「何って?(ニッコリ)」

こ、怖っ!
え〜と、と視線が宙をさまよった。

「……なんだろうねぇ?」

苦しい話題そらし……
しばらく静かな時間が流れた。どうにもならなくなって、視線を宙に泳がしたまま行動した。

「今日は、泊まるのやめよかなっ!バイバイッ!」

バッグをひっつかんで部屋を出ようとするが、大きな体に阻まれ実行不可能。
抗議をあげようとした唇もふさがれた。
長い長いキスの後、私の荒い息が彰の広い胸にかかる。

「あ、あき、彰っ……や、やめてよね……ッ……」

「イヤvv」

そんな、にっこりスマイルで言われても……
そして、最悪の事態は起こった。

「……そーだ、あのドラマの続き、教えてあげようか?」

「え?……んんっ!」

執拗なキス。
相手を追い求めてやまない。
私は、怒るのも忘れてそのキスだけに酔いしれていた。
……何秒くらいそれが続いただろうか。
放された唇から、吐息が漏れた。

「馬鹿ぁ……!ふひゃぁ!」
ペロンと耳をなめられて、妙な声をあげてしまう。

ってば、耳弱いよなぁ〜……」

真っ赤になって耳を抑える。

「あ、ああ彰っ!いいかげんに……!」

「やめない。がいけないんだよ?越野なんかと楽しそうに話すから」

「う、うぅ……お、男の嫉妬は醜いよ!?」

デビルスマイルで彰は言い放つ。

のためだったら、別に醜かろうとかまわないよ?」

そういって、ひょいっと私の体を持ち上げる。

「いやぁぁ!明日学校でしょ!?部活出来なくなるよ!?それでもいいの!?」

「っていうか、こういうことしないで泊まれると思ってた?……なにより、溜まってたほうがキツイしvv」

……さらりと言いましたね?

さらりと。

つまり!

「欲求不満なだけじゃないっ!」

「そうともいうかも」

「ちょっと待てぇ!……あんたが良くても、私はイヤ―――!」

「あんま、激しくはしないからさ……」

器用に私を抱えたままドアを開ける。
ベッドにふっと私を降ろしてその上に馬乗りにのる。
私は、最後の抵抗を試みて、少し悲しげに眉を寄せて彰に問いかけた。

「本当に、するの?」

「本当にvv」

あぁ、デビルスマイルが―――。





「……んっふぅ……」

彰の舌が私の耳を弄ぶ。
……耳が弱いってわかっててやってくるんだもんな……
舌先でつんつんとつついているかと思えば、スーと耳をなめまわす。

「彰っ……一回だけだから、ね?」

「ハイハイvv」

本当にわかっているのか、この男は。
暫く服の上から胸をもまれたけど、彰は我慢できなくなったのか、少し乱暴に服を脱がされるた。下着も取り払われて上半身を覆うものは何もない。
うなじ、首筋、胸にチリ、とした軽い痛みが走る。
おそらく、明日の朝には私の体にたくさんの桜の花びらが散っているだろう。
そんなことを、ぼんやりと考えていたら、かり、と胸の突起をかまれた。

「ひゃぁっ……!」

いきなりの快感に、背筋がゾクゾクする。
おまけに

「……何考えてたの?……最中なのに、越野のこと考えてた?」

なんて甘い声でささやかれたら、背筋がさらにゾクゾクした。

「んなワケ、ない、でしょっ!……んぁっ……くっ……」

彰の事以外、考えられるわけないじゃない。
この状況で。

「……俺だけ見てて」

甘い声。

私は、その言葉に合わせて彰の唇を求めた。
それに答えるように、彰も私の唇を求めてくれた。
やわらかい彰の舌が気持ちいい。

「……んっ!」

ぐっと私の中に彰の指が入ってきた。
まだあんまり濡れていなかったのか、かなり痛い。

「ん〜ん〜っ!」

その痛さを彰に訴える。
彰は、ふっと唇を離すと、

「痛い?」

ガクガクと首を振る。

「……悪ィ……じゃ、少し慣らすな……」

ホッと力が抜ける。

と今度は生暖かいものが私の中に入ってきた。

「ふっ……はっ……ぁん!」

入ってきたものは彰の舌で―――私の感じるところを正確につついた。

「ふぁ……!」

かなり気持ちいいんだけど、これ……。
私はもう何も考えられなくなって、喘ぎ声だけを出しつづけた。

「……もう、いい?」

彰もかなりキツイのか、性急に求めてきた。
無言できゅっと彰に抱きつく。

「……くっ…」

彰のうめき声が聞こえる。
私の中にも彰の質量がはっきりとわかった。
今度はそんなに痛くない。

「あっ…あぁん、はぁっ……はぁ……」

彰は、注挿を繰り返す。
ギリギリまで引き抜いてから、奥に突く。
単純なことなのに、なんでこんなに感じるのか不思議だ。

「は、はぁ……あ……ぁあ!」

昇りつめていくのがわかる。
知らず知らずに彰を締め付けていた。
そのせいか、彰も一回り大きくなったような気がする。

「ぁん!……あぁぁ……!」

あっさりと私は昇りつめてしまった。
それから後の記憶は……

ない。





「……うーそーつーきー……」

彰に背を向けたまま、私は愚痴った。

「激しくしないって言ったくせに〜……」

「こんなの、9時台のドラマでやるわけないじゃん……」

「AVだっての……」

そんな言葉ばっかりでてくる。

けどっ!

最大の悩みはこれだった。

「むぅ〜……明日、午後全部部活なのに〜……」

午後の一番キツイ練習をこの体のままやるなんて……きつすぎる。

彰は、ふぅ、と息を吐いた。

……ごめん」

「べ〜つ〜に〜?今に始まった事じゃないし?ってゆーか、欲求不満にしたの私だし?い〜いけ〜どねぇ〜……」

にこっと彰が笑った……ような気がする。
恐る恐る振り返ってみると、やっぱりそこにはデビルスマイルを浮かべた彰の顔。

「あ、あの……仙道、サン?」

「いいって言ったね?言ったよね?……もう、約束破っちゃったし、どうせなら一回だけっていう約束も破っちゃおうかなvv」

硬直している私の体の上に再度馬乗り。

「……二回戦に、さぁいこーかvv」

デビルスマイル、再発動―――。





あとがきもどきのキャラ対談

仙道「……2割増しくらいにエロくない?」

銀月「……だって、仙道さんだもん。……エロいのはあんたじゃん!」

仙道「悪魔な笑顔ってなんだよ。失礼だな、こんなに爽やかに笑っているのに(ニッコリ)」

銀月「それが、悪魔だってのっ!さんが困るでしょ!」

仙道「だって、可愛いしvv」

銀月「お馬鹿―――!」

仙道「しかも、あのドラマ、俺の予言どおりになったんだよvv」

銀月「え゛……」(凍りつく)

仙道「、昨日はごめんなvv感想とかくれたら嬉しいな♪」